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感想 暗黒童話  乙一 はじめての長編小説と言うことだが、確かに粗削りだが、初期にしか見られない作家のpowerを感じた。

どんな作家にも初期の作品はある。
たいていは完成度が低く粗削りだ。本作もそうでありますが、初期だからこそ見られる違う何かがあるのも確かなのです。

本作は設定が楽しく、とても愉快であります。
ただし、ホラーなのに怖くない。

目の見えない少女のため、目玉を奪い取りプレゼントするカラス。
それを目にはめると、その奪った目の人の記憶が夢になって現れるという童話が序章になっています。

この童話の作者が陰惨な事件の犯人という繋がりを見せるホラーミステリーなのです。

それは誰?
最後の最後までわからない。
二転三転するのも面白い。
ホラーの形をとっているが、ミステリーだと思う。

ある記憶のない少女が目を移植したことで、その人の記憶がチラッチラッと再現されるという不思議現象が起こります。
彼を殺害したのは誰だみたいな展開。

あの童話の作者が犯人ですが、彼が地下室に隠していたのは・・・。

この目玉の記憶が夢みたいにフラッシュバックし色んなヒントを与えるという展開が本書の魅力

顔と胴体だけの少女が、どこかに監禁されていて
それを発見したのが左目のドナーの青年

その目の記憶を頼りに、主人公の菜深が謎を解き明かします。


死んだ人の目の記憶を通して謎に近づいていく
この形が本書の物語にしっくりしていて
とてもいい作品に仕上がっています。





2023 8 13



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