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感想 霜月記  砂原浩太朗 今の時代小説の書き手の中では、砂原 浩太朗さんはベスト3に入ると思う。傑作でした。


面白かった。これぞ時代小説という一品。
砂原 浩太朗さんの神山藩シリーズはどれも当たりです。

町奉行を10年務めた父が消えた。
18歳の息子に家督と奉行職を譲渡していたのだった。

この家、歴代、この藩の町奉行を任されている。
困った草壁総次郎は、名判官と謳われた祖父左太夫を頼る。

本書の魅力は父の行方を捜す謎解きの側面と
草壁の三代、子、父、祖父の魅力。
とくに、じつちゃまの左太夫の魅力だ。

総次郎のパートは町奉行悪戦苦闘日記のようであった。
ほんと、しょぼい裁判ばかりである。

長屋で金が盗まれた。隣の遊び人の家探しをすると出てきたが、本人は知らないというのだ。
調べてみると、遊び人はイケメンで被害者の女房が好きになったが、フラれた。その腹いせに遊び人の家に金を隠したというのだ。

こんなバカみたいな裁判の連続だった。

左太夫のパートは、助手にベテランの筆頭与力を伴い
かなり本格的に調査をする。

そこに、総次郎の親友が加わり四人で謎を解く形式なのだが

表の調査を総次郎がやり
賭場のようなところはじっちゃまが調べるというのも興味深い。

悪役もキャラが立っているし、女たちも魅力的
両親を殺害された少女を引き取り育てるのだが、その少女が隠し持っていたお守りが鍵となる。

とにかく面白かった。ミステリー要素が強いのであまり触れないが、アクションもあるし裏切者もいる。最後まで目が離せない時代小説の傑作でした。





2023 8 24



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