映画 ここは退屈迎えに来て 原作に忠実なのに、全く違う印象。
原作に忠実にシーンを描いているのに、全く違う印象だった。地方の息苦しさがモチーフの原作に対して、過去の良かった思い出のノスタルジーというのか過大評価というのか。なりたいものになれなかった人が、過去を事実より良く解釈しているというのか、そんな感じに感じた。
異彩を放っていたのは、同性愛者の赤毛の新保君だ。
椎名を愛する、その気持は切なかった・・・。同じく彼に片思いの主人公の橋本愛との絡みのプールのシーンとゲーム場のシーンが光ってた。
右側のおっさんだが、この女子高生と恋をしていた。しかし、俺は47だから、親もうるさいし・・・と、見合いして元アイドルの女性と結婚するのだが、原作では、単に、女子高生とおっさんの別れ。周囲の目を気にして見合いをさせられるおっさんとしての存在だったが、元アイドルの子と結婚することで意味がまったく違う。なにかゲスいおっさんになってしまい、女子高生だけがピューアーな存在として目立ってしまった。
久しぶりに会いに行く椎名に胸ときめく主人公。
彼女は、高校時代に椎名に片思いで周囲の人間に恋人と誤解されるだけでも幸せだった。久しぶりに再会した彼といろいろと話しをし親密なムード。
しかし、最後に尋ねられる。「名前、何だっけ?」
このシーンはオリジナル。強烈に爪痕を残したよ。これにより、椎名をめぐる、新保(赤毛の男)と彼女の恋愛ノスタルジー作品になっちまった。さらに、椎名に片思いの門脇麦のところも、加えるとモロ恋愛ノスタルジーって印象。原作のモチーフと違うことになっちゃってる。
でも、すごく切なくていい作品でした。
2021 5月9日
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