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感想 ふたりの距離の概算古典部シリーズ 米澤 穂信  謎解きをマラソン大会中にやってしまうというところが面白い。

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氷菓シリーズの5作品目です。
本書の特徴は、謎解きの証拠集めとか、謎解きそのものを
マラソン大会中にやってのけることです。
奉太郎はわざと歩いたり、わざと正規の道をフェイドアウトして
謎解きありきで学校行事に参加します。自由奔放です。

仮入部で大日向という子が入ってきた。
しかし、辞めるというのだ。
その謎解き。

キーワードは、菩薩です。

大日向は、どうもエルとトラブルになったようだ。
彼女がエルを、菩薩のような人と形容したのです。

『外面如菩薩内心如夜叉(げめんぞぼさつないしんにょやしゃ)』という言葉があり、顔は菩薩のように優しくても、心は夜叉のように険悪で恐ろしいことを表します。

しかし、後ろを走っていたエルと合流し話すと、何か違う。
部室に携帯があり、それに勝手に出てしまったというのだ。

しかし、そんなことで辞めるはずがない。
何か、背後に理由があるはずなのである。
エルの気づいてない何かが・・・。

エルは街の有力者の娘なので顔が広い。
答えは、本書をお読みください。

中学の時に彼女には親友がいた。
この子との距離感の問題で色々とあった。

本書のモチーフは、友との距離感です。
中学生くらいだと、親友と自分は同じみたいに思うところがある。
例えば、旅行に行きたい。
小遣いが少ないと友達に言われても納得できない。
子供には各家庭の経済状況まではわからない。

つまり、家庭間の差というものがあることもわからないし
自分がこれがいいと思う。それは彼女もいいと思うに違いないと思ってしまう。
そこで生じた問題が背景にあります。

ミステリーなので詳しくは語れないし
謎の何かを解き明かすと、読書の楽しみがなくなるので
中途半端ですが、これくらいにしておきます。
雰囲気だけでも伝われば幸いです。


2022 8 9
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