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書評 三丁目の地獄工場  岩城 裕明  発想豊かなホラー短編集、ディテールが細かくリアル。少しグロい。

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ホラー大賞出身の岩城さんの二作目。
短編集。収録は5作品。
もちろん、ジャンルはホラーです。
ディテールが細かくリアル、少しグロい。
発想が豊かで、今まで体験したことのないような世界観でした。
マンガ的な発想を小説に取り込んだのかな。

表題作「三丁目の地獄工場」は、落ち目の人間がたまたま知り合った地獄の獄使とジョブチェンジした話しですが、この地獄のまるで工場のような雰囲気とか、ディテールも細かい。独特の今まで読んだことのない地獄工場が再現されていて斬新だった。

「女瓶」は、一番好きな作品。死体を瓶に入れるとゾンビとして奴隷として生き返らせることができる。

うちの蔵には祖父が大陸から持ち帰ったという大きな瓶があり、その瓶に死者を漬けると、数日後によみがえるという。その者は瓶人と呼ばれ、腐って首が落ちるまでの間、主人に絶対服従の奴隷となるそうだ。父は病院で亡くなった母の遺体で瓶人を作っていた。


主人公の大学生男子は、妹の同級生の女子高生の死体を近くの山で発見し、ゾンビとして生き返らせて・・・・。ディテールが細かく、表現も緻密なのでかなりグロいが、女子高生の父親が探しに来て、どうも父親にレイプされているらしく、この主人公のことを前から好きで、そういう過去がにじみ出てきて、何かいい作品。グロさと少女の感情。彼への想い。逆方向のベクトルに流れている2つの表情が複雑に融合する様は読んでいてなかなか良い。

「怪人村」は、魔改造されるのです。村の人みんな。仮面ライダーの改造人間みたいな発想なのかな。結構、これもリアルに書き込まれていて楽しいです。


他の2作品はまぁまぁでした。

2022 1 29



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