感想 眠れないほどおもしろい吾妻鏡 板野 博行 2022年NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の世界を堪能できる本!
2022年NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の世界を堪能できる本です。
歴史書というのは、だいたい歪められていて
信長公記などの信長の記述は、かなり残虐で悪意すら感じます。
吾妻鏡も同じで、明らかに北条氏の影響が関与し歪曲されていると思えます。
しかし、本書はそれを踏まえて、他の文献も合わせて語るという形ですから信頼できます。
また、愚管抄の作者慈円が語るという物語形式なのでとっつきやすいのもいいです。
ただ、重複の記述も多く。初心者向けです。
大河ドラマでは、主人公の北条義時の妻である八重ですが・・・
伊東の娘であり、頼朝と恋仲になり子を産むも父親に露見し
子供を殺されて、2人は引き裂かれる。
ここまではドラマのままですが、本書では、吾妻鏡には
この八重、頼朝を訪ねていく、すると政子とくっついているのを目撃。
ショックで入水自殺するとのこと。
他にもいろんな説があるみたいですが、北条泰時の母は八重さんではないようです。
えーーー
義時と結婚しないのか。
三谷め、やりやがったなーーーー
って話しなんです。
次に、印象に残ったのは頼朝です。
義経の軍略を恐れて追い詰めて殺したのですが
頼朝って、義経や義仲の息子だけでなく、親類も殺しまくっている
義経と一緒に平氏と戦った。
そんなに天才というわけでもない従順な弟の範頼も流刑とかにして排除しているらしいのです。
さらに、不思議なことに
頼朝の死については、ほとんど書かれてなくて
死ぬ3年くらい前から記述がないとのこと。
北条にとって不都合な何かがあったんじゃないかと思ってしまいます。
次女が暗殺疑惑があるだけに、もしかすると・・・。
鎌倉の十三人というドラマのタイトルが不思議に思っていたのですが
鎌倉殿。頼朝が死んだ後、息子の頼家が将軍になるのですが、この人がおバカ。
なので、北条や三浦、和田、梶原、比企・・・、あの面々がサポートすることになったのです。
そのメンバーが13人いたということでした。
そのアホぼんの頼家は、どうも毒でも盛られたみたいな感じがします。
ようするに、弟の実朝を次の将軍にしたい北条時政と頼家の幼子を次の将軍にしたい比企の対立があったみたい。
頼朝が死んだ後の時政の印象が全く違う。
極悪人です。
権力の亡者。
最後は、政子と義時に排除される。
だから、北条において時政の評価は低く、3代執権北条泰時は、頼朝の供養は欠かさなかったが、祖父の時政についは供養しなかったとのこと。
どんだけ嫌われているのかってことです。
人の良い、あの大河ドラマのおじさんと別人みたいなイメージです。
三代将軍になった実朝ですが、甥の公暁に暗殺されます。
これで源氏は滅亡します。
この暗殺の直前、義時は病と称して別人と役目を変更しています。
そして、その人が巻ぞいを食い殺されています。
そんなんおかしい と本書では言っている。
どうも、公暁の背後には三浦がいたらしいが
義時が生きていると知ったとたん、三浦は公暁を裏切り
義時に寝返ったとのこと
梶原、比企、和田・・・
次々と罪を被せられ滅亡させられていく
歴史は勝者が作るとは言え、これは酷い。
鎌倉の歴史は、武家のドロドロした欲望の暗躍がなしえたものだと言えます。
ドラマとは、まったく違う。
ドロドロの世界です。
2022 6 14
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