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感想 ボタニカ 朝井まかて 朝ドラの主人公の牧野富太郎は、とんでもない天才で、かつ鬼畜だった。

牧野富太郎に興味があり朝ドラを見ている。
本書とは、かなり設定が違うようだ。

ドラマでは、跡を継ぐのは姉である
しかし、本書では、その人は年下の従妹で富太郎と結婚します
そして、祖母に代わり番頭と二人で裕福な実家の家業を運営し
東京に出て、植物学に精を出す富さんの援助をする

よく、学問は貴族にしかできないと西洋では言われる
それは学問には金がかかるからです

富さんは本屋に行き、新刊が出ると手あたり次第に購入し
それを実家に払わせたりしていた
生活費も活動費も実家持ちです

なお という富さんの妻は、高知でせっせと働き彼の援助をしている
しかし、彼は、そんな妻に感謝することもなく、愛人を作り、子までなし
その生活費まで正妻に要求するという鬼畜的な所業

ニートの上、浮気までして、それでも堂々としている
この牧野富太郎。富さんの精神構造が理解できない。

実家は、かなりの金持ちであったが、富さんの無理難題の金の要求により最後は破産
すると、富さんは妻を離縁し番頭と結婚しなさいというのです。
金がなくなったら捨てる
悪徳ホストみたいです。
そりゃ、二人は親密だったのかもしれないけど、ひどいですよ。

金の切れ目が縁の切れ目です。

この なお という先妻の存在は、何だったのでしょうか?
富さんの犠牲者にしか思えない。

正妻になった愛人が、次は金の苦難を背負います。
富さんは研究のことしかないから辛い。
京都で病気になる場面は辛すぎる。貧乏は辛い。

気がつくと、大学の先生の給与15円の数千倍の3万の借金。
今で言うと億ですよ。
こんな貧乏な学者に、よく、そんな金を貸したなと思います。

その借金を神戸の金持ちが引き取ってくれることに
その代わり、神戸で富さんの標本を展示する館を作るという話しになるのですが
彼は、そんな神戸の金持ちとも喧嘩する。

牧野富太郎は天才だが、人の気持ちを理解できなかった奇人だったのだと思います。
わが道を行くというのか
かの有名な南方熊楠についても、慕ってきているのに、会いに来ないのを不満に思い批判めいたコメントを出している。

大学で富さんが出世せず、教授にイジメられる場面があるが
いくら自分の実力が上でも、相手は上司
嫉妬もあるし、色んなことがありますよ
大学とは縦社会です。留学したら出世できるとアドバイスを受けた時も断っている。
研究、研究、出世なんて糞くらえ
たぶん、そういう態度が問題なのかも

どんな優れた人物でも小学校中退の学歴だと、東大では上は無理ですよ。
大学って、今も昔も教授に忖度して、媚びるところがあります。
俺のほうが上じゃきみたいな態度だと排除されるのは当然です。


フィールドワークを重視した彼が、生涯で集めた植物標本は40万枚、名付けた植物は1500種類。これはすごいことです。

何となくなんですが、その規格外の人物と才能。
これは同じ土佐出身の坂本龍馬に似ている気がします。

そういえば、ドラマでは二人は偶然に出会っています。







2023 5 21



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