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書評 魔女たちは眠りを守る 村山 早紀  優しい魔女の話しを読んでいると癒されてくる。

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魔女の出てくる話しと言えば「魔女の宅急便」がいいですね。
あれ、大好きです。空を飛んだり、黒猫が出てきたり最高です。
本書は、魔女が登場してくる短編集です。
七竈七瀬という名前の高校生ぐらいに見えるが、本当は100歳オーバーなのです。百七十を超えています。
この子が魔女です。他に年配の優しい老女の魔女も出てきますが、この二コラの出てくる話しがいいです。

落ち込んでいる人に、こんな声をかけてあげます。

「ねぇ、寂しい時は、ひとりで暗いところにいてはだめなのよ」


さて、魔女とは何なのか?。
こう答えています。


「魔女はひとりで旅して、ひとりで生きていくものだから」

サンライズ・サンセットというお話しが好きです。

若い兄弟が出てくる話しです・・・
願い事を言ってごらんと魔女に言われて
兄は、野球選手のサインが欲しいと言います。
弟の願い事がいい。

「魔女様、ぼくの願い事は、お兄ちゃんの願い事と同じでいいです。お兄ちゃんの願い事を叶えてあげてください」

何か、胸が熱くなる話しです。
40年後、兄が魔女を訪ねてくる。昔のままの姿でした。
つまり、死んだのです。
彼は中年になった弟と再会します。

この再会は、保留になった弟の願い。
死んだ兄と再会したい・・・。

すごくいい話です。
魔女の二コラの台詞がいい。

「思うに、魂はきっと消えたりはしないのよ。人間たちのだけじゃない。魔女や使い魔の魂も。消えたように見えても、世界のどこかに溶けているだけなんだね。会いたいと思えば、こうして会えるの。お盆じゃなくたってさ」

優しい魔女の話しは、少しささくれた心を癒してくれました。

2020 6/14


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