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映画 世界から猫が消えたなら

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 これも断然、原作よりも映画の方が上だ。宮崎あおいが画面上に出てくると世界が変わって見えるので不思議だ。

 原作では、猫が時代劇風の言葉をしゃべったりするが、そういうシーンはない。猫との出会い。母の思い出などが強調されていた。

 主人公は余命1日である。難病にかかっている。そこに悪魔がやってきて提案する。寿命1日と引き換えに、この世界から1つ何かを消すという、よくありがちな悪魔取引がなされるのだ。

 電話、映画、時計・・・・と、主人公にとって大切なものがどんどん消えていく。その物とそこに関わってくる人との過去が・・・。

 元カノに宮崎あおい。二人の仲は電話が取り持つ仲だった。共通の趣味は映画。時計は、父親が時計店を経営している。

 原作と映画の決定的な違いは、例えば、電話がなくなると、間違い電話によって知り合った元カノと主人公の関係も消えていく。つまり、消失が過去にも影響していく。映画ならば、通っていた映画館が消える。そこは彼女の職場なのだ。

 文字よりも映像化した方が、ぐっと迫ってくるシーンというのがある。それは二人が旅行で南米に行った時に知り合った青年とのエピソードだ。彼は死ぬ。目の前でだ。時間に支配されたくなくて、18歳から海外を放浪していた男だった。

 世界から何かが消えるということは、その思い出や記憶もなくなるということ。それは大切なものとの別離になる。

 どうして、猫の時に、その契約を打ち切ったのかは、よくわからないが、悪魔の出現で彼は自分の過去を再体験したのは確かだ。いい映画だった。原作よりもクオリティが高かった。

2020 7/5


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