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感想 硝子の塔の殺人 知念 実希人 少し複雑だが、いやー面白かった。大ネタ小ネタ満載の本格推理ものです。

ダウンロード - 2022-05-05T112829.024

本屋大賞ノミネート作品。

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この作品、本格ミステリーの傑作だと思います。
いやー、とても楽しかった。

クローズドサークル、密室、どんでん返し。何となく綾辻行人の館シリーズをリスペクトしているのではと感じました。
この昔のフォルムは、今や違和感しか感じない。しかし、そんな古臭い設定を超越する面白さが本書にはありました。大ネタ、小ネタを無数に交えて、本格推理小説、謎解きファンを十分に満足させる素晴らしい力作だと思います。いつもの知念さんの作品とは少し違う読みにくさはありますが、謎解きということでは最強かと感じました。


終盤できちんと「読者への挑戦」まで用意されています。
実は2回あります。
つまり、どんでん返しがある。犯人がわかったと思うと、実は、その裏まである。
そこが本書の面白さ。
自分で犯人を探せる、推理できるのが本格推理の良いところです。

実は、僕、真犯人を当てました。
でも、密室トリックはまったくわからなかった。

殺人事件は4つありますが・・・
2番目のトリックは秀逸。

それにしても、この古臭い本格ミステリーの形は
アガサ・クリスティの時代から変わらないですね。
違和感ありありです。

クローズドサークルの確率が高いのも気になります。
外界との連絡手段が絶たれる状況の設定。
離島もの。土砂崩れで連絡がとれないなどなど・・・。
数日の間、その館にいるしかなく、その間に次の殺人事件が発生するパターン。

本作の舞台は、雪山の奥に建造された円錐のガラスの塔。
いかにもという建物です。
そして、何故か密室殺人が発生する。
個性的な登場人物。
これもアガサ・クリスティの時代から変わっていない。

強欲な館の主人、一癖ある刑事、陽気な料理人、主人公である医師、名探偵、メイド、胡散臭い霊能者のおばさん、わけありの編集者、執事。

プロローグで、犯人が紹介される。
主人公の医師です。彼が強欲な館の主人を毒殺する。

第2の殺人は、実は、この医師ではない。
ここで、主人公は名探偵に近づき、ワトソン役を引き受けることで
第2の事件の犯人を探ろうとする。

ここが新しい。
犯人が、ワトソン役になり名探偵とともに犯人探しをしつつ
第一の犯行をごまかそうとするのです。
そして、第3の殺人。
地下室の秘密。

本書の楽しみの1つは、ミステリー談義です。
名探偵碧月夜の語るミステリーの蘊蓄の数々
これが楽しい。
実は、そのミステリー愛が、この一連の事件のKEYになっていたりします。

とにかく、面白い。
無理設定ではあるが、この楽しさは半端ない。
最強の本格ミステリー小説と言っても過言ではないと思います。

2022 5 17



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