『お茶漬け』だった頃
ご飯がほとびるのが嫌いなのでお茶漬けは食べないし、親子丼や仕切りのないお弁当箱も苦手
食べ物の話ではない
雨のやみ間、近所の子どもたちが走り回って遊ぶ中、小さい女の子がお母さんに抱っこされたまま寄せてほしいと泣いていた
お母さんは大きな声で『一緒に遊んであげてよ！』と叫んだが、その女の子のお兄ちゃんらしき男の子がぼそっと『えー、ややこしいからイヤ』とひとこと
お母さんはため息混じりに『ややこしい、て。。』
と言いながら女の子をなだめながらシャボン玉をしきりにすすめていたが女の子は怒り狂っていた
小さい頃、いとこたち及び姉が1〜3歳差で固まっていて、その中でも一番下の姉から遅れること４年後に生まれたので何をするにも『お茶漬け』だった
かなり大きくなってからも親戚が来た時なんかに、食器のいっぱい載ったお盆を持ち上げただけで『ひゃあ大丈夫か！？落とさへんか！？』と何人もに手を添えられたりする末っ子扱いのままだった
もう落としたり割ったり、泣いたりしません YO！
『お茶漬け』というのはルールが緩かったり色々手加減してもらえる『特別扱い』のこと
えこひいき、忖度、優遇？
ちょっと違うか
親や先生という“大人”がそう指示するのではなく自然と『〇〇ちゃんは『お茶漬け』やな』と言われ、鬼ごっこで─”下駄隠し“、”だるまさんが転んだ“、”追いかけ探偵“─ドロじゅん（泥棒と巡査）とか言うところもある─捕まる直前に見逃してもらったり最後まで遊べるよう手加減してもらえる
ある集団においてその中の小さき者は助けられ、弱き者は守られる
しかし、ルールを破ったり、泣いたり拗ねたりしたら即刻『お茶漬け』認定してくれた“ボス”から退出か謝罪を迫られ、母に泣きつきに帰るかふくれっ面で遊び続けるかどちらかを選ぶことになる
ラッキーな時は優しい『姉以外』の人が世話を焼いてくれたりかばってくれるが毎回そうは行かないしこちらもいっちょまえに意地があるので泣きながら食らいついて遊んでもらっていたものだ
そうやって皆が楽しく安全に遊ぶために決めたルールを守れない人は遊んではもらえない事を学ぶ
大学の時、教育発達学だったか教育心理学だったかで『ギャングエイジ─小学3年生頃の１度目の、理屈の通らない反抗期真っ只中のこども』はいなくなりつつあると聞いた
親同士が把握した友人と遊び、反抗どころか親に何でも話し、交友関係や学校での様子、何があったかも親御さんはとても良く知っている
事件や事故から子どもを守るために必要なのだろう
良い悪いではなく、とにかく大人と関わりのない子どもの世界が存在しなくなりつつあるらしい
公園で体が大きく乱暴者の同級生が土管の上で自分を待ち構えているのを知っていながらそこへ足を運び、その取り巻きや子分にからかわれるのもまた知っていながら泣きながらでも一緒に過ごす放課後
この可愛いカンカンはお誕生日にもらったもの
放課後はこうして遊びから色々を学ぶのだけれども、学校教育の場─殊に義務教育の課程─では勉強する機会を他人が安易に奪ったり妨げてはいけない
中身のない権利を主張し勢いに任せて無闇にルールを破ることは自分にとっても周りにとっても良い選択ではない事を体感として持っている
制服のシャツの第一ボタンをとめる・とめないだけで授業を1時間潰したり、度を超した染髪の指導の腹いせに教師の白髪染めを声高に嘲笑・非難し罵声を浴びせ掴みかかるなんていう場面を目の当たりにし直接関係ないところで長いこと思い出しては心がザワついたり胸を痛める人もいるのだから
あぁ、思い出すと少し心がブクブクと沸き立つ
何が何でも納得のいかない誰かが決めたルールを漫然と守らなければいけないということはないけれど、自由をはき違えて意味も持たずなんの主張もなく好き勝手に振る舞う事ほど愚かな事はない
先ほど期日前投票で区役所へ行き、そのまま二条駅のそばのスーパーへの行き道、出身中学の前を通ったものだからこんな気持ちになったということにしよ
出身の小学校が投票所で、期日前投票に行ったおかげで小学校へ行かずに済んだのにわざわざ変な寄り道をしてしまった
出身の小・中・高と全ての学校が建て替えのタイミングだったので学び舎はひとつもありませんが
友だちも少なく、結婚もせず子どももいない私が子ども達の遊び方や仲間について何か言うつもりなんてない
小さいというだけで助けてもらい弱いということだけで守られていた『お茶漬け』だった頃を幸せだったようなそうでもなかったような、ただただ思い出す蒸し暑い夕暮れ時
カラスが鳴くからかーえろー
歌詞とかは思い描いた光景とは全然違うけれど何となくこんな曲が思い浮かぶ
こちらも
くまの子見ていたかくれんぼ
お尻を出した子１等賞
夕焼け小焼けでまた明日
また明日
良いな良いな
人間って良いな
美味しいご飯にホカホカお風呂
あったかい布団で眠るんだろな
みんな帰ろお家へ帰ろ
でんでんでんぐりかえって
バイバイバイ
（おぼえです）
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