日直__風間

今日の日直は。

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最近の記事

9月14日

「女の子は恋をすると可愛くなる」なんてあるわけないよねって、君は僕に笑って見せた。 その姿は僕にはもう充分眩しかったんだよ。 君と僕は幼なじみで、お隣さん。 少女漫画なら僕は君と付き合えてたかも知れないけど、現実はそう甘くなくて。 幼稚園も、小学校も、中学校も一緒。 高校だって同じ。 生まれてから今日までずっと君は僕を「てんちゃん」僕は君を「りりちゃん」って呼んでてさ。 りりちゃんは特別可愛いわけじゃないしクラスで目立つ方でもないけど、僕からしたらとっても可愛くてキラキラして

    • 9月2日

      「死んだらどうなるんだろうね」 蒸し暑い中、休み時間に教室に居られない私たちは屋上へ続く階段に集まる。 『急にどうしたの』 「いや、どうなるのかなぁってちょっと思ったの」 『ふぅん…そんなことよりまた痣増えてる』 「ん、また殴られた」 『お揃い』 染み付いた痣で汚れた手足を並べて2人で笑う。 「私達何でこんなに愛されないんだろうね」 『わかんない。愛されてるのかもしれないよ。歪んでるだけで』 「こんなの愛って言えるの?」 『そうだと思わないと気が狂うでし

      • 6月2日 山田芽衣

        初登校。新しい感染病が流行ったせいで私の初登校は6月になってしまった。行事はなくなるし、今日だって初めての登校なのに時間をずらして集まるから、一年生のみんなに会えない。 事前にうちに届けられたプリントには登校時間は10:00と書かれていたけど、気合が入りすぎて早く着いてしまった。 憧れてた高校生活の初日だもん、そりゃね。 時計に目をやると9:20分を指している。 気合が入ってるとはいえちょっと早すぎた。 教室には一番乗りかな。 そんなことを考えながら扉を開くと教室のど真ん中の

        • 9月20日

          ボディミストを髪に吹きかける。 このボディミストは、「貰い物」だ。 最低最悪の人間から「貰った物」だ。 小学生の頃私を虐めていた女が中学受験をして隣の市の中学校に行く事になってみんなと離れてしまうからと仲のいい女達に多種多様な物を渡していた。 それは、お菓子が好きな奴にはお菓子だったり本が好きな奴には本だったり各々に合ったものだった。 そして何故か私はボディミストを渡された。 このボディミストを渡された時、私は吐き気を催し排水溝に詰まった髪の毛に対するような気持ち悪さを感じて

          3月2日

          「卒業生、退場」 昨日俺は、通っていた学校を卒業した。 長かったような短かったような3年間だ。 3年間、俺は大人が求めるいい子でいられるように努力して、努力して、努力して。 反抗することなど一度もなかった。 矛盾することも躊躇することも怒られてしまうから、考える事をやめて、大人の言う事に従った。 自分の意に反する事だって、大人がそうしろと言うならそうした。苦しかった。 だから痛い、辛いって自分の代わりに歌ってくれる音楽にのめり込んだ。  スーツを着た校長はあなたの人生はあな

          8月15日

          暑く湿度の高い空気が纏わりつく夜に森田は夜回りに勤しんでいた。 森田の住む町は老人が多く40に近い森田でも若い方に含まれる。 正直面倒だが、老人を夜回りに行かせるわけにもいかず仕方なく引き受けていた。 それにしても、盆に夜回りとなると大人になったとはいえ気味の悪いものがある。さっさと夜回りなんて終わりにしてしまおうと森田が早足で進んでいた時 「誰かいるな」 少し小高くなっている丘の上の公園に、人影が見えた。 「1人、いや2人か。」 公園の入り口にある大時計は19時39分