9月2日
「死んだらどうなるんだろうね」
蒸し暑い中、休み時間に教室に居られない私たちは屋上へ続く階段に集まる。
『急にどうしたの』
「いや、どうなるのかなぁってちょっと思ったの」
『ふぅん…そんなことよりまた痣増えてる』
「ん、また殴られた」
『お揃い』
染み付いた痣で汚れた手足を並べて2人で笑う。
「私達何でこんなに愛されないんだろうね」
『わかんない。愛されてるのかもしれないよ。歪んでるだけで』
「こんなの愛って言えるの?」
『そうだと思わないと気が狂うでしょ』
「確かに」
外から刺す日差しが眩しい。
じっとしているだけでも汗が流れる暑さだけど、私たちは抱きしめあった。
しばらく見つめ合い唇を重ねる。
私たちは愛されない。
だからお互いがお互いを愛すことにした。
例えそれが嘘だとしても偽物だとしても、誰かに愛されていると思えればそれで良かった。
「痛みは愛じゃないんだよきっと」
『じゃあ愛って何なんだろうね』
同じ境遇の相手と自分を重ねて、相手を愛することで私は自分自身を愛している。
私を殴る親の愛は歪んでいる。
だけど私の愛もきっと歪んでいる。
私達は本当の愛を知らない。
歪んだ愛しか生み出せない。
それでも私達はいつか愛し愛されることを夢見て今日も心臓を動かし続けている。
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