見出し画像

知的障害のある子ども達にピアノを教える私が、言語と常識問題も教える理由

知的な発達に遅れのある子どもたちにピアノを教える時は、少しずつ、ゆっくり時間をかけて進んで行きます。お家でも練習してもらえるように宿題を出します。「くり返し」が勝負です。

ただ、最初の頃は、知識や能力に、年相応の子どもと比べて大きなムラがあり、それを私自身が十分把握できていないことで、レッスンに効率の悪さを生んでいることが悩みでした。
「この子は何ができて、何ができないのか?」

発達検査や知能検査の結果よりも、教える自分が、自分なりに、子どもたちの現在の知識と能力を直接理解することが大事だと考えていました。

そこで思いついたのが、小学校の入試問題です。

こんな問題がたくさんあります。
いろんな出版社から問題集が出ています。

画像1

画像2

画像3

画像4

数を問うものから、言語、常識まで、たくさんあります。
私はこれらの問題集を、各項目ごとに2-3枚コピーして、やらせてみることにしました。
▼それをまとめたのが、この表です。

画像5最後の音楽の項目は、私が付け足したものです。子どもに必要な能力が網羅されています。

やらせてみると、得意と苦手がわかってきました。
IQ78という数字なら、どのくらいのことが理解できているのか?ワーキングメモリーが低いと検査結果には出ていても、譜面を覚えられる子と、覚え難い子がいるのは、どこが違うのか?いろんな疑問の参考にしていきました。

🎵 🎵 🎵 🎵 🎵 🎵

今では、レッスンスタート直後にやってもらうことで、最初から市販のテキストが使えるかどうか?歌やリズムの同時導入は適切か?大体のことを予測できるようになりました。働きかけの言葉も、レッスンの進め方も変化し、レッスンプランが立てられるようになり、少しずつ弾ける曲が増えていきました。

長年続けた結果、今は、言語と常識問題のみに、レッスン中は絞ってやっています。他のことで弱いものは、プリントでやるよりも、(プリントはあくまでも周囲の大人の確認と思っているので)、普段の生活の中で、比較や数量などを教えていただけるようにお母さんにお願いしています。

言語が必要だと思ったのは、よくしゃべる子に比べ、おとなしい子、言葉に遅れのある子は、リズム感があまり良くないと感じているからです。よどみなく話す子は、間違いなくリズム感がいいです。大人も同じです。常識問題の内容は幅広いので、知的発達を促すには丁度いいようです。

画像6

ピアノを習うことで、ワーキングメモリーや集中力、判断力など、20個を超える様々な能力が身についていくと言われています。
そして、私と子ども達の目標は、「ピアノを上手に弾けるようになること」「ピアノと仲よしの友達になること」です。

そのためにはもちろん、ピアノを習うことで身につく能力を養います。
それと合わせて、ピアノ習得のための、様々な理論や、曲の中の音の仕組みを理解していくだけの知識や能力の根っこを、学力を伸ばしながら培っていきます。ピアノレッスンと併行すると、とても効率が高いと感じています。

いつか、子ども達がピアノと、今よりもっと、仲良くなれることを心から願っています。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?