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高機能自閉症 ピアノ歴10年目の演奏


高機能自閉症と診断され、小学4年からピアノを始めた圭くんも、
はや元気いっぱいの大学3年生になりました。

幼稚園の頃は、他の子どもたちと同じことができない我が子に、
お母さんは涙を流されたことも、幾度となくあったそうです。

当時はコミュニケーションの不得手を主とする問題も
(話が聞けなかったり、友だちができないなど)
いくつか抱えていました。
身体が固いため、指が思うように動かない、などの症状もありました。

レッスンをしていて、1曲を弾き終わってアドバイスをしようとしても、
なかなか話を聞いてもらうことができず、
「このままでは進まない・・」私は当時、大変悩み、
驚きと困惑の日々がずっと続きました。

彼は、私が初めて出会った自閉症の子どもでした。
どんなにお勧めの本を読んでも、マニュアルを検索しても、
音楽療法を学んでも、専門家に相談しても、
私の心を満足させて、レッスンプランを作ってくれるものには
出会えませんでした。

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でもあれこれとアプローチの仕方を変え、
どうして行くことが彼にとってベストなのか、
お母さんと毎週話し合いました。

そしてあきらめず続けていくうちに、こんなに上手くなりました。
何より本人と、それを支え続けてこられたご両親の努力の賜物です!

圭くんの10年目の演奏を聴いてください。

カーペンターズ 青春の輝きです。


私がすごいな~と思ってきたのは、
試験の前だろうが受験の前だろうが、決めたことはヤル!で、
決してレッスンを休まない、休ませない、
ご両親の芯の通った子育てへの姿勢です。 

「どうせ一日家にいても、ずっと勉強するわけじゃないんだから、
ピアノ行ってきなさい。」
「あなたは高機能自閉症なのよ。」と、
高校に入った時に本人に話したこと。
部活に入って、どんなに遠い、自転車で片道2時間もかかるような
練習場所でも、一人で行かせたこと。

雨風の強い日でも、圭くんは傘をさして自転車で来てくれていました。

ご両親は常に彼を見守り、
その時々でじっくりと向き合い、話をされ、
よくご家族で旅行にも出かけられていました。

そこに感じたのは、大きく深い愛情と、
芯の通った厳しさでした。

この時の動画は大学生ですが、
今は社会人として活き活きと働いています。 
2020年は、オリンピックの聖火ランナーも決まっていました。
毎年、フルマラソンにも出場しています。

もう20年近いつき合いなので、
成長段階でのいろんなご家族の葛藤を近くで見てきました。
でも今、彼は、定型発達も含めた多くの子ども達の、
希望の星です。
発表会などで圭くんの演奏を聴いて、ピアノを再スタートされる
大人の方もいらっしゃるほどです。

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私の教室には、自閉症スペクトラムの子どもたちが来てくれています。
時間はかかっても、彼らは毎日少しずつ少しずつ成長しています。

どうかあきらめないで。

今と、今に続く時間と、
神さまから子どもたちに与えられた、その子でなくてはできない、
その子でなくてはならない使命を信じて、
これからも子どもたちやお母さんといっしょに、
歩いていきたいと願っています。


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