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子どものピアノ練習に付き合うとしたら?

未就学や小学校低学年の子どもだと、ひとりで家で練習するというのが結構難しい場合がある。楽器の練習というのは基本的に孤独だし、小さいうちは論理的思考が発達していないため、そもそも練習することによって上達するという関連性が、理解出来ないこともある。

小さいうちは保護者がレッスンに付き添って先生の指導を聞き、それを家に帰って親子で復習する、というやり方も多いと思う。ただし、親がレッスンに付き添うことが、必ずしも良いわけではない。これは幼少時から、親子で高度な目標に向かって楽器を習う場合、有効に作用することが多いが、逆効果になることもある。親を当てにせず、小さい頃からひとりで自立してレッスンを受けることで、主体的に理解する習慣がつき、結果的に、高学年くらいで大きく成長する場合もある。子どもの性格や親子の信頼関係にもよる。

今回は、普段はレッスンを見学することは少ないけれど、家で初級者の子どもの練習に付き合う必要がある両親向けの内容で書いてみる。

音楽の専門家でない人が楽譜を読む場合、おそらく音が正しいかどうかに最も注目がいく。何の音かというのは勿論重要な要素だが、それは楽譜の要素のひとつでしかない。音だけ合っていても、音価が滅茶苦茶だと、とても同じ曲には聞こえない。ただ、最近は動画でありとあらゆる練習曲が視聴可能なため、それを参考にリズムを取って練習するという人も多い。参考に出来る音源にいつでもアクセス出来るというのは便利だけれども、もししっかりした読譜力や初見能力を身につけたければ、楽典をしっかり勉強すること、リズムの勉強を疎かにしないことをお勧めする。とりあえず一曲上手く弾ければ満足、高望みはしないという場合は、そのまま気に入った音源をコピーすれば上達は速い。

一番疎かにされがちで、後々ピアノの先生を困らせたり、壁にぶち当たったり、続行不可能になってしまうのが、運指を無視した弾き方である。運指は、初級者のうちは特に、最重要ポイントと言っても過言ではない、あらゆるジャンルのピアノ奏法における基礎の基礎だ。人間の指は10本しかなく、88鍵を自在に操るには、それ相当のテクニックが必要であり、ピアノのテクニックとは即ち指の使い方である。

これは最初が肝心で、一度適当な指使いの癖がついてしまうと、後で改善することが難しく、後々苦労することになるのだ。例えば、いくら練習しても速いパッセージが弾きこなせない、トリルが出来ない又は出来る指が限られる、レガートに弾けない、内声が入ると弾けないなどなど、弊害が多過ぎる。

上級者になると、必ずしも楽譜に記入されている運指を使う必要はないのだが、初級教本などに書かれている運指は、家での練習の際忠実に。これらは、子どもの手の大きさを考えた運指が振られているので無理がないし、自然に基本的な指使いが身につくよう意図された、教本の一部だからである。ギロックなど、単純な音形を何もこんな風に左右分けて弾かなくても、と思われる運指のフレーズが頻出するが、これもやがて流暢にピアノを弾く準備として仕組まれており、勝手に変えることはお勧めしない。

運指は演奏の影の部分で、かなり専門的に弾く人でないとその重要性は理解出来ないのだが、重要性が分からなくとも、練習の時に注意深く従うことは出来る。この初期の運指の習慣が、数年ピアノを続けた後の上達を左右するので、面倒くさいと思っても、多少なりとも上手くなりたければ、おざなりにしないでやることをお勧めする。

人間は日常生活では主に1、2、3指を多用する。しかしピアノは4、5をいかに器用に使いこなせるかが肝である。これはメカニックな練習で強化するという方法もあるが、教本にある指使いを忠実に練習するだけで、かなり自由に動くようになるものだ。特に子どものうちは大人より手の癖が少ないので、その特権を利用すると良いと思う。







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