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【教室業】副業の延長線上に、本業は無い?!

音楽教室運営「未経験」で、でも、「それだけで食べていかなくては」という状況に身を置き、十数年が経ちました。実際にレッスンをするのは妻ということもあり、もちろん敬意を払いつつではありますが、遠慮なく、音楽教室特有の事情や慣例に切り込んできたという点が、他の教室との違いなのかなと思っています。

妻にとっては、音大や音楽教室、そして音楽講師の慣例が当たり前すぎて、疑問にも思わないことが多かったようで、「そんなの誰も教えてくれなかった~!」という発言が、いつぞや定番に。一方、私の方も、「そういう意図があったんだ!」と驚くことも度々。音楽を専門にしてきた人と、そうでない人との間には、深い溝があるということがあらためてわかると同時に、腹を割って話せば、その溝を埋めていくことができるというのが、大きな発見でした。

最初は互いに反発も大きかったのですが、徹底的に話し合い、そして、実際に教室内で試してみることで、着地点を探ってきたというのが、本当のところです。実際に効果が出れば、互いに納得しやすいという・・・。


夫婦で教室を開校する前は、妻は音楽講師として、いくつかの教室を掛け持ちして、教えていました。定義はさておき、「副業」としての働き方です。一方、夫婦で教室を開校した後は、週5日、1日8時間をその仕事に充てます。そして、その中で最大限のパフォーマンスを発揮できるように、試行錯誤を続けていきます。レッスンがあろうと無かろうと、先に「支払われる金額(稼ぐべき金額)」が決まっているという点が、最も大きな違い。その金額が払い続けられない、あるいは、払うに値しないとなれば、退場を宣告されます。

だから、最初のうちは、仕事を選んでいる余裕などありませんし、いつまでも生徒数が増えなかったら、「しょうがない」では済みません。常に、緊張感に満ちた生活が続き、胃がキリキリします。

でもこれは、半強制的に、「自分ができることを増やす」ということに繋がります。経験の無い年齢層のレッスン、専門の少しだけ外側のジャンル、あるいは、人に伝わるよう、自分の感覚を文章に起こしてみる、などなど。そうやっていわば「守備範囲」を広げていくことで、「仕事」に結びつく可能性を高めていくわけです。会社員では当たり前になされていることを、個人という単位でもやる。ただそれだけのことなのですが、嗜好性の高い「音楽」というジャンルにおいては、少し難しい面もあるのかなと思います。「やりたい」と「やりたくない」。本人のプライドにも関わってきます。だから、副業としてやる人は副業で良いと思うのです。ただ本業を目指すのであれば、やり方を根本から変える必要があるように思います。


生徒数が増えていけば、副業はやがて、本業になるとイメージしている人が多いようで・・・。

例えば、生徒数20人の教室が30人になるとはどういうことか。はたから見ると、少し頑張って10人増やせば良いと思いがちです。瞬間的にはその通りなのですが、定常的な生徒数は、「入会する数」と「退会する数」のバランスで決まります。生徒数が10人増えるということは、辞める人も加味すると、もっと多い人が入会しなくてはならない。また、生徒数を維持するためには、一定の割合で辞めていくことを想定するならば、それを上回る頻度で入会が無ければなりません。

生徒数が増えれば、必然的にレッスン数は増え、各生徒の状態を把握したり、スケジュールを管理する労力も雪だるま式に増えていきます。一方で、自分で使える時間はどんどんと減っていきます。そんな具体的な想像ができているか。そして、入会希望者が定期的に訪れる状態というのは、先程述べた「守備範囲」が広い状態でなければ、起こりえません。だから、副業としてやっているうちは、副業を抜け出すことはできないのです。


例えとして適切であるかどうかわかりませんが、「生徒数を増やして維持する」ことは、「体重を減らして維持する」ことと、案外似ているように思います。

例えば、55キロの人が、50キロになる。食事制限をすれば、一時的に体重が落ちるかもしれません。けれど、元の生活に戻せば、また元に戻ってしまう。だから、常時50キロになるためには、体質や生活習慣自体を変えないといけません。これって結構、大変ですよね?音楽教室の運営というと、とかく、集客に目が行きがちですが、集客のテクニックだけを学んでも、中長期的に見れば、何も変わらないということが、何となくイメージしていただけるのではないかと思います。

音楽教室を本業にするための条件。それは、多くの人が安心して来られる教室です。この「安心して」というのは、「実力アップ」はもちろんですが、お金に関してクリアだとか、対応が信頼できるとか、広告に偽りがないとか、話をしっかりと聞いてくれるとか、先生都合が優先されないとか、総合的なものです。大手のようなブランドが無い分、安心感・信頼は自分で作らないといけません。

名前だけで人を集められるような有名人は別として、もし、音楽講師を本業にしたい人がいれば、「本業として取り組む」ことがポイントだという、嘘のような本当の結論で締めさせていただきます。


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