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トーはおそれている

2月が一瞬で過ぎ去っていった。今月もまたタフなひと月だった。毎月同じことを言っているような気がしないでもない。しかし、本当に調子が出なかったのだから仕方がない。頭痛に胃痛にぼろぼろだった。暴飲暴食、睡眠不足、運動不足といった日頃の不摂生に原因があるのは百も承知だ。他方で、急に暑くしたり、寒くしたり、風を吹かせたり、雨を降らせたりする地球にもその責任の一端はあるのではないか、と言いたくなる。マイアミ在住だったらこんなことにはなっていなかったはず。 

この間、渋谷や新宿を歩いていると海外からお客さんをよく目にする。先日、富士そばで食事をしていたら、フランス語を喋る団体客がぞろぞろと入ってきた。ひとまず席に座って店員が対応するのを待っている様子だったから、音頭を取っていた人物に「ヘイヘイ、ユーガイズ、ファースト、バイアチケット、オーケイ? ディスマシーン、オーケイ?」と声をかけようか迷ったが、意気地が出ず、そのまま店を出てしまった。今も後悔している。最初に「メイアイヘルプユー」と声をかければ良かったのか。次からそうする。

海外からのお客さんを見ると「遠いところからはるばるようこそおいでなすった」という気持ちが湧いてくる。東京での生活を一切謳歌せず、隅っこのほうで粛々と大人しく生きている人間だから、利便性以外に東京の魅力を知らない。はたして海外からのお客さんたちがエキサイトできるような場所が現在の東京にあるのだろうかといらぬ心配をしてしまう。しかし彼らにとっては余計なお世話だろう。

もし何かの拍子に海外からのお客さんに「どこか楽しい場所はない?」と尋ねられたらどうしようか。これといっておすすめしたい場所が浮かんでこない。出不精で、人生を楽しむ気概もなく、なるべくなら一人で穏やかに過ごしたいと考えている人間が楽しい場所など知っているはずがない。

とはいえ、もしものときを考えて回答を用意しておくのもきっと無駄ではないさそうだ。ときに新宿のゴールデン街は観光客にも人気らしいではないか。しかし、ゴールデン街を勧めたところで自らアテンドしないのであれば、ただのフォニイ野郎という感じがする。そしてゴールデン街のお店をアテンドするだけのポテンシャルが自分にないことは言うまでもない。

いつも一人で行動していて、知らない人と交流するのが苦手だから、クラブやバーのような社交の場に関する知識は皆無である。足繁く通っている場所といえば映画館ぐらいのもの。しかし観光スポットとして映画館をおすすめされても困るだろう。こうなったらシンプルに自分の好きな飲食店を勧めるしかない。たとえば、新大久保のネパール料理屋さん、高田馬場のミャンマー料理屋さん……。どれもジャパニーズ・フードではないじゃないか。

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