【6/5西武戦●】その拍手に込めた、言葉にならない思いを

「負けたねえ」と言いながら、外野の席から1番出口に向かっていると、ベンチを出たマクガフがゆっくりと歩いてきた。前を通るマクガフに、一塁側内野席と外野席のファンは、拍手を送った。

球場の外に出ると、向こうからクラブハウスに向かってライアンが歩いてきた。帰路についていたファンは、少しだけ足を止め、今度はライアンに拍手を送った。

大きな声を出して、めいっぱいの声援を送ることができなくなって、もう1年が過ぎた。その間に、ファンはたくさんの拍手を、手が痛くなるほどの拍手を、いろんな思いを込めた拍手を、選手たちに送ってきた。

大きな１本を放ったヒーローにも、試合を作り勝ち投手になったエースにも、しっかり試合を締めてくれた守護神にも。

そして、ピンチを迎える投手にも、必死にボールを追ったけれども取ることができなかった野手にも、そして負けて引き上げていく選手たちにも。

本当の思いというのは、言葉にできないものかもしれない、と、よく思う。これだけ言葉を扱う仕事をしていても、いやしているからこそ、何度も痛感する。

本当に大切なものはたぶん、言葉にできないものの中にあるのだ。