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秋の気配漂う北海道の昆虫たち〜ほとんどバッタ目〜
少し早めのお寺参りをするために、一泊二日で実家に帰っていた。
小山の山腹にあり、自然豊かで日本海を見渡せる景色も美しい自慢の我が家。
市内とは気温が1〜2℃違うのかもしれない。
エアコンなんてものはもちろん無く、生まれてこの方、扇風機さえも使ったことがない。
というか、所持もしていない。
昨日と今日は、珍しく30℃に近い気温だったが、カンカン照りを除けば、日陰はひんやり気持ちの良い天気だった。
エゾゼミに、時々ミンミンゼミの声が混じって共鳴している。
姿を確認したかったが、熊笹が鬱蒼と生い茂った森の中の小高い木の梢までは行けそうにもなかったので、早々に諦め声だけを楽しんだ。
家の周りをぐるぐる周ると、足元に何匹ものバッタが跳ねる。
ヒナバッタ、イナゴモドキ、コバネイナゴ、サッポロフキバッタ、ミカドフキバッタ。
それぞれ翅があったりなかったり、長さもバラバラなので、飛び方や飛距離もまちまち。
一歩踏み出すごとに色んなところからピョーン、パタパタ、ビョーンと愉快に飛び跳ね回る。
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翅が退化している
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こちらも翅が退化しているバッタ。
チョッキのようにほんのちょっとだけ生えている。
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帰省中、何匹ものミカドフキバッタが我が家のすぐ横の砂利に産卵していた。
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脚の可動域の広さに驚かされる
産卵中は、すぐ横でガン見しても逃げることはなく、ひたすらに産卵に集中している姿に「がんばれ!」を言いたくなる。
バッタ王国と化していた我が家を楽しんだあとは、長靴に履き替え、徒歩5分のアマガエルの里へと向かった。
湧き水が出るその空き地は、夜になるとカエルの大合唱が聞こえることで我が家の中では有名な場所。
水たまりを見ると、たくさんのオタマジャクシが悠々と泳いでいた。
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オタマジャクシよりボウフラの方が
多いのではなかろうか
カエルを探したが見つからず、そのうちに、蚊の総攻撃に遭ったので足早に退散する。
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夜は、夜の楽しみがある。
虫たちの合唱に耳を傾けること。
23時も回った頃。
開け放った窓から涼しい風と共に流れ入る虫たちの声。
それにつられるようにして、スマホ片手にサンダルを履いて一人外へ出る。
ツーキチチッ ツーキチチッ…
一際大きな声で鳴いている昆虫を、耳を頼りに抜き足差し足で探し出す。
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バッタ目キリギリス科エゾツユムシである。
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太陽の下で見ると鮮やかで透き通るような黄緑色。
比較的涼しいところにいるようだ。
小さい頃はこれを「キリギリス」だと思っていたほど、わが家近辺ではポピュラーなバッタ目の昆虫。
鳴き声が気になったので、じっと息を潜め、待つ。
鳴かぬなら鳴くまで待とうエゾツユムシ。
秋を感じさせる、涼しい音色。
いつまででも見て、聴いていたかったけれど、さっきから脚やら首元がチクチクするような気がする。
私は、短パン、Tシャツ、サンダル姿であることを思い出した。
「こりゃあ、やられたな」
自宅に戻ると、チクチクした部位がしっかりと痒かった。
私は満足気に頷くと、秋の音色と引き換えに負った4つの膨隆疹に、それぞれムヒを優しく塗りこんだ。
北海道の夏が終わろうとしている。
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