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2歳児の成長は速い ―2度目の現代産業科学館

これは「2才児連れてミュージアム活動」の記録です。今や子は5才児。時はコロナ第7波。筆の遅さに我ながら慄くが、これはもう2年以上昔、新型コロナが流行る前の話です。

前回訪問当時は2才0か月でした。その9か月後に再び訪れてみたところ、母は思いもよらず成長を感じたのでした。


展示物の意図に沿った楽しみ方をしている!

前回は、とにかくボタンをぽちぽちぽち押していた。光の三原色?混ざると何色になる?そんな問いかけはお構いなし。ぽちぽちぽちぽち。

それが今回は、人感センサーによって始まる導入の動画を見入ったり、電車の模型が動くのを見たり、位置エネルギーを運動エネルギーに変換して転がっていくボールコースターを動かし、ゴールにたどり着かせては「ピタゴラスイッチ♪」と歌ったりしていた。
…なんだ、普通に展示物を楽しんでいる風ではないか。(あくまで”風”だけど)

天井近くにある画面で流れる動画を最後までじっと見入る子。流れる映像は、母の幼少期よりもっと昔の時代だ。

メイン展示に入る前の導入動画をしっかり見てしまっているあたり、展示の構成意図に沿っている。展示ってちゃんと人間の行動欲求に合ったつくりをしているんだなぁと感心した。ただし、ここで言う人間=2才児である。多くの他の人間が、見ても数秒で立ち去っていくようになるのは、どういう成長なのだろう。

そして前回どハマりしたぽちぽちには、もうハマらない。2才児の成長はそんなにも速いのか。

ビビりなのは変わらない

前回、ゲートも何もない入口でしばらく立ち止まっていた子は、やっぱり今回も入口で立ち止まっていた。何かの設営をしている人々がいて、その姿をじーっと見ている。それに気を取られているのかと思いきや、前回同様、奥にある火力発電のタービンが怖かったらしい。帰りに写真を撮ろうと寄っていったら「みるだけね?」と制止するほどに。

この恐怖をひきずったようで、タービンを迂回して最初に訪れた2階では、展示場に入る時も怖がった。入口からは中に何があるか見えないこと、照明が薄暗く、床や天井が灰色で暗い雰囲気なのが原因な気がする。なので、とりあえず外にあったエッフェル塔の模型をしばらく眺めさせておいた。

エッフェル塔の模型。ミニチュアの人形で大きさが表現されているけれど、そこはまだ理解しないようだ。

エッフェル塔と船の模型を見て、ようやく気持ちが鎮まったらしい。展示場の方を見て「なんだろう?」とつぶやき、中に入ることができた。

それでも、実演時刻を告げる放送がある度に毎回ビビり、どこかの展示物から大きな音が聞こえてきてはビビり、1階に降りるための薄暗い階段に「こわそうだなぁ」とつぶやいていた。

古い公共施設ってなんであんなに怖い感じがするんだろう。独特の匂い、薄暗い照明。人が少なくて、職員さえもひっそりと働いているような気さえする。結構、それが博物館を敬遠する原因にもなっているんじゃないだろうか。

実演2本

今日も変わらず空いている館内のお姉さんに誘われ、実演に2本参加した。

一つは、空気に関するもの。空気砲を打ったり、風で色んなものを浮かべてみたり。やってみる?と誘われるも、「やってみない。母ちゃんやって」と自分ではやらないビビりさん。「母ちゃんがんばれー」と応援してくれた。でも、他の参加者(私達の他に1組だけ)の様子に拍手をしたり、実演のおじさんが「すごいだろー」と言う声に「すごーい」と返したり、楽しんでおられた様子。

一つ目の実演の会場。上向きに設置されたドライヤー(写真では紙風船がのっている)を使って、色々な物を浮かせたり浮かせられなかったりする。

もう一つは、磁石の実験。手が届く対面式の実演会場で、磁石の色々を見せてくれる。これは磁石につくでしょうか?の問いかけには、まだ答えられない。ていうか、はやく磁石をつけてみたい。この手で自分もやりたい。その磁石をこっちへよこせ。と、そんな感じ。これも楽しんでいるかといえば、楽しんでいると言えよう。15分強の実演、飽きてくるがなんとか最後まで聞き、実演のおじさん(一つ目と同じ人)にバイバイタッチもして、立ち去る。

結果、母の頭は「???」

一つ目の実演の最中、おじさんが言った。
「科学館は、どうして?なんで?をお勉強する場所だから」

この日、母の頭は「なんで?」でいっぱいだった。
空気で色々浮かせる実験で、ラーメンカップは浮くけど鍋焼きうどんのアルミ鍋は浮かない…。物理刺激(叩くとか熱とか)で、磁石の向きは、ばらばらに戻る。だから磁力が弱くなる…。え?なんで?どういうこと??

そんな純粋な科学の疑問は、2才児と暮らす日常で生まれることなど滅多にない。普段使わない頭の場所が動くことは、楽しくもある。誰か教えて!と叫びたい気持ちと、久々の謎を堪能していたい気持ちと、頭の錆び付きっぷりへの大いなる困惑を抱えながら、2才児の手を引いて科学館を出たのであった。

次に来る時は、子も母も(あと世の中も)どうなっているのだろうか。


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