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【こども霞が関見学デー】文化庁博物館ブース活動レポート

こんにちは!
私達はボランティアを通じて博物館と大学生をつなぐ団体「ミュゼさぽ」です。6月に発足し話し合いを重ね、今後様々な活動をここから発信していこうと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。

ミュゼさぽ初の活動として8月2,3日に開催された「こども霞が関見学デー」に参加しました!
実際にブースに入ってお手伝いをしたり様々な博物館の学芸員の方から貴重なお話をお伺いしたりと実りのある二日間となりました。
今回の記事では実際の会場の様子や今回行った活動などをお伝えできればいいなと思っています。ぜひ最後までお楽しみください。

こども霞が関見学デーとは?

まず今回私が参加したこども霞が関見学デーについて説明していきます。
そもそもこども霞が関見学デーとは

子供たちを対象に業務説明や職場見学を行うことにより、子供たちが夏休みに広く社会を知る体験活動の機会とし、親子のふれあいを深めることを目的とする取り組みです。

パンフレットより

このようなイベントで毎年夏休みに各省庁で行われています。平日にも関わらず会場は多くの親子連れで賑わっていました。
今回は私が参加した、日本博物館協会主催ブース「夏休みミュージアム体験!~発見と創造のとびらを開こう~」について詳しく紹介していこうと思います。

ブース入口の様子

博物館ブースの紹介

今回参加されていた博物館(10団体)を紹介していきます。

大谷美術館さん

今回は浮世絵《東都名所 両国回向院境内全図》《勧進大相撲之図》のレプリカを展示したほか、その庭園と建物は国の名勝に指定されている旧古河邸の模型を展示されていました。二つの浮世絵は作者や時代は違うものの同じ回向院で開催されていた大相撲の様子を描いており、デジタルで再現された会場の様子に子供たちは興味深々でした。

ちひろ美術館さん

世界初の絵本専門美術館としてオープンし、いわさきちひろの作品に加え世界中の絵本原画を所蔵する美術館です。今回は読んだ詩にあったカードを探したり、作品についての感想を語り合うなど、いわさきちひろ作品のカードを使ったWSを開催されていました。

慶応義塾ミュージアムコモンズ(KeMCo)さん

慶応義塾大学が所蔵するコレクションにデジタル技術を用いることで、教育や研究、交流を促進する学生主体の団体です。今回は北斎と国芳の浮世絵とデジタル技術を融合した体験や浮世絵のポストカードの配布などを行っていました。

古代オリエント博物館さん

古代オリエントに関する研究、展示を行う博物館で、今回は古代オリエントの都市をジオラマを用いて再現する体験や、円筒印章を粘土に押す体験を行っていました。

泉屋博古館さん

中国古代青銅器を中心に西洋画や日本画など様々な美術品を展示しており、京都と東京に博物館があります。今回は虎卣(こゆう)、鴟鴞尊(しきょうそん)などのレプリカや鴟鴞尊のヴァーチャル模型の展示、実際に古代の鐘のレプリカを叩くことができる体験などを行っていました。

東京動物園協会さん

上野動物園、多摩動物公園、井の頭自然文化園、葛西臨海水族園の4つの都立動物園、水族園である東京動物園協会さんは、今回実際の飼育員のジャケットやほうきを使った飼育員なりきり体験を行っていました。

目黒寄生虫館さん

寄生虫を専門に研究・展示を行う博物館で、今回は実際に会場でサバを捌き体内に含まれているアニサキスの展示を行っていました。

港区立みなと科学館さん

虎ノ門という都会の真ん中でプラネタリウムが楽しめる科学館です。今回はプラネタリウムの紹介や現在行われている展示の紹介を行っていました。

横山大観記念館さん

近代日本画の巨匠、横山大観の作品を所蔵し大観が住んだ建物は国の史跡に指定されている館で、今回は大観の《霊峰富士》を墨で描く水墨画体験を行っていました。

路上博物館さん

「博物館はもっとおもしろい」をビジョンに掲げ自然史標本の3Dモデル化を行っている博物館で、今回は様々な動物の骨格3Dモデルの展示や骨格標本ガチャなどを行っていました。

ウポポイさん

博物館のブースではなかったのですが一緒にご紹介します。北海道でアイヌ文化振興の拠点としオープンし国立アイヌ民族博物館などを含む施設で、今回はサケ皮の靴やマグネットでの首飾りの再現、アイヌ文様を描く体験などを行っていました。

入り口ではキムンカムイ(ヒグマ)がお出迎え

活動の様子

一日目

様々なブースの見学、お手伝い、インタビューなどを行いました。
開場直前に永岡桂子文部科学大臣がお見えになり、博物館ブースを見学されていました。泉屋博古館さんのブースで鐘を叩いたり、目黒寄生虫館さんのブースでアニサキスやその他寄生虫を興味深く見学なさっていました。
あまりお時間がない中で学芸員の方々とお話されながらじっくりご覧になっていたのが印象的でした。

途中横山大観記念館さんのブースで水墨画体験をさせていただきました。
想像より墨の扱いが難しく思ったような絵にならない、、!
大観の技術の高さ、繊細さを身をもって感じました。子供たちの個性豊かなサイン(赤字のもの)も見ていて面白かったです。

またお手伝いとして路上博物館さんのブースに入らせていただきました。まず動物の骨格に対してほとんど知識がなかったためどんな動物の骨格か、またなぜそのような構造をしているのか教えていただきました。実際に教える立場となると、子どもたちから全く想像もしなかった疑問や想像を投げかけられ私にとっても大きな学びとなりました。

路上博物館さんの帽子をかぶり説明している様子

二日目

主に大谷美術館さんでのお手伝い、インタビュー、他ブースの見学をおこないました。

(左)多くの親子連れで賑わう会場内(右)大谷博物館ブースで展示されていた浮世絵

大谷美術館さんでは《勧進大相撲之図》をモデルにしたペーパークラフトの配布をお手伝いしました。机に置いているだけでは素通りしてしまうお子様にも、声をかけてペーパークラフトの説明とともに展示されているレプリカの説明へと誘導することで興味をもって足を止めてもらうことができ「まずは知ってもらうこと」そして「興味をもってもらうこと」が学びを広げるうえで重要なのだと感じました。

お昼は二日間とも庁舎の食堂で、限定メニューやデザートなど様々な選択肢がありました

インタビュー

今回、先ほど紹介した博物館さんや実際に参加した親子連れから「こども霞が関見学デー」についてお話を伺いました。

目黒寄生虫館さん

ーなぜ今回アニサキスの展示を選ばれたんですか?
サバのなかから確実に得られるもので、生きたまま展示していても危なすぎないからです。また日本で一番多い寄生虫ですが現物を見たことがない人が多いという理由もあります。

会場で捌いたサバから見つかったアニサキス

私もアニサキスの現物は初めて見ました。一匹のサバから何十匹とアニサキスが出てくる様子は見ていて恐ろしかったです。十分に冷凍すれば危険性はないそうなので皆様お気を付けを、、、

横山大観記念館さん

ー今回このWSに込めた目的や思いがあれば教えていただきたいです。
最後に自分の作品と写真撮影をした後「みんなの富士コーナー」に作品を展示し並べてみると沢山の個性的な富士がありました。富士山だけでなく、そこから想像した湖や雲など子供に墨で思い思いの富士山を描いてもらうことで子供の感性を大切にしたいです。また実際に体験することで、乾くと色が変わってしまったり、やり直すことができなかったりと水墨画の難しさを実感してもらえると思います。

集まった「みんなの富士山」コーナーの作品

私も実際に体験し、難しさを実感しました。今回展示された作品は後に横山大観記念館で展示される予定だそうです。続報をお待ちください!

ちひろ美術館さん

ーまず美術館では多くの教育普及活動を行われていると思いますが、普段はどのような思いでWSを開催されていますか?
絵本は身近で親しみやすいものですが、何となく綺麗、かわいいといった感想で通り過ぎてしまいがちなものなので、活動によってしっかりと「いわさきちひろの絵」を見てもらいたいと考えています。またそのような活動を通じて逆に私たちが気づかされることもあります。
ー普段は透明水彩を用いたWSを開催されていますよね?
はい、透明水彩をにじませて描くことによって「いわさきちひろっぽい」作品を作ることができますが、それと同時にいわさきちひろの技術の高さを知っていいただくことができると思います。
ーでは今回の企画を所蔵品カードを用いたものにした理由はありますか?
WSを通じて詩に合う絵を見つけてもらったり、好きな絵を見つけてもらうことで記憶に残るように絵を見てもらいたいと考えました。
ー今回参加された目的などあれば教えていただきたいです。
はい、絵本って0歳から100歳まで楽しめるものなので、子供から大人までみんなで楽しんでいただきたいです。

いわさきちひろの作品カード

いわさきちひろ美術館は安曇野と東京に館があります。どちらもとても素敵な美術館です。誰しも一度は見たことがあるこれらの作品を皆さんもぜひ現地でご覧になってください。

実際に参加された親子1

横山大観記念館のWSに参加されていた親子連れにお話を伺いました。

ーまずどんな富士山を想像して描きましたか?
男の子:早朝、霧がかかっている空の富士山を想像しました。
ーどのような経緯でこのイベントに参加されましたか?
母親:妹がここで働いているので毎年訪れています。
ー他にはどのようなブースに行かれましたか?
母親:国立民族学博物館のブースで帽子をかぶったり、目黒寄生虫館のブースを見学したりしました。
ーこんな体験があったらやってみたい!などありますか?
男の子:恐竜が好きだから発掘体験がしたいです。

とても幻想的な富士の水墨画を描かれていたのでお話をお聞きしました。絵を描く体験は初めてということで来年からもたくさんの体験をこのイベントを通じてしていただければ幸いです。


実際に参加された親子2


横山大観記念館のWSに並ばれていた親子にお話しをお伺いしました。
ーどのような経緯でこのイベントに参加されましたか?
母親:夏休みだしと思い、インターネットを通じて知り参加しました。
ー他にどのようなブースに行かれましたか?
母親:博物館のブースはほとんど全部行ったと思います。
ー特に記憶に残るものはありましたか?
母親:隣のブースの落語が良かったです。
ー落語聞いてどうだった?
女の子:楽しかった!
ーこんな体験があればやってみたいなどありますか?
母親:恐竜図鑑が好きなので発掘とかかな?
女の子:(うなずく)
ーこのイベントの目的には「親子の絆を深める」というのがあるのですが実際に参加してみていかがでしたか?
母親:来て本当によかったです。たまたま父親の仕事が休みになりみんなで来れて、全員が楽しめました。
父親:国の仕事って何をやっているかわからないところがあったんですが(このイベントで)少し理解できました。

お時間の関係でWS体験はできなかったのですが、三人でとても楽しそうにお話をされていたのが印象的でした。博物館ブースに限らずブラインドサッカーや車いすのスポーツ、囲碁など様々な体験に興味を持ったと伺いました。このようなイベントがお子様だけではなく、親子の交流の場になればと感じました。

(余談ですがお話を伺った二組とも恐竜が好きで発掘体験がしてみたい!とおっしゃっていたことに驚きました。路上博物館さんでお手伝いをした際にも恐竜の骨だと間違われることが多々あったため、やはり小さなお子様は恐竜が好きなんだと感じました。)

最後に


こども霞が関見学デー、博物館ブースの雰囲気を一ミリでも感じていただけたでしょうか?
毎年開催されているこのイベントはただ省庁の仕事を知るだけではなく、親子の絆を深め、学びの原動力となる「もっと知りたい」という好奇心を高めてくれます。今回初めて知ったという方はぜひ来年の夏休みにお子様と訪れてみてください!
また今回「博物館」と言っても星や標本、寄生虫、浮世絵から絵本の原画など様々な分野があり各ブース全く異なった魅力的な展示をされていました。
まだ行ったことのない館、これを機に興味を持った館など様々あると思います、ぜひこの秋に訪れてみてはいかがでしょうか!

それでは次の活動でお会いしましょう!

取材・記事担当者:佐々木


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