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【新感覚】東京の「秘境」にて童話的世界観を隅々まで体感|深沢小さな美術館

こんにちは、ミュゼさぽ代表、中尾です。

前回の変わり種美術館4選の記事、ご覧いただけたでしょうか!自分の好きな美術館を語る経験が楽しすぎて、2週連続で書かせていただくことになりました!今回も都内の面白い美術館を紹介しますー!

私、中尾はもともと関西人です。18年間ずっと関西に住んできて、筋金入りの関西弁と関東への様々な偏見を携えて大学進学を機に東京に引っ越してきたのですが、そんな中尾が東京に来て一番驚いたこと、それは…
自然がちゃんとあること!!
なんなら自然の量は大阪より多いというデータもあるそうじゃないですか。東京の大都会に慣れてくると、沸々と東京の森を覗いてみたいという気持ちが湧いてきました…。
地図で見てみると東京の西の端、青梅や奥多摩、檜原などは自然豊富そうなところがたくさん。慌ただしい都内の生活から離れて散歩でリフレッシュ、想像しただけで楽しそう!
…ついでに美術館も行けば「森の中の美術館」という最高にロマンティックな経験ができるのでは!?(美術館脳)

そんなこんなで東京の「秘境」へと美術館を求めて意気揚々と乗り込んだのですが、思ったより楽しい大冒険となったのでした…。

朝の武蔵五日市駅。めちゃ登山日和で気持ちいいですが私が行くのは美術館

⭐︎最寄駅から徒歩45分⁉︎「深沢小さな美術館」

まずは西武新宿線「拝島駅」まで電車で向かいます。早大生なので(?)高田馬場駅から乗ったのですが、この時点でなかなか遠い……。

そこからは武蔵五日市線という初めて使う路線に乗り換え、終点の武蔵五日市駅まで20分ほど、奥地へと向かっていきます。

武蔵五日市駅に着きました!この時点で時間は9時20分

登山に出掛ける人々を後目に、一人だけやけに軽装で美術館へと向かいます。

早速マップで駅から美術館までの道を調べてみると…
「グーーーーン」
マップがあまりの遠さに縮小され、表示された時間はなんと45分!
普段高田馬場から東西線で早稲田駅まで乗り継ぐことなくわざわざ20分歩いて大学に向かう散歩好きな僕でも、流石にちょっと気がひけました。
相手は普段歩いている歩道と異なり、バリバリ勾配のある山道です。
さすがに美術館に行くため登山をするのは初めて…。ちょい不安になりますね。

3,000mって、なによ

はじめこそ運動不足が祟り若干の足の痛みを抱えながらの移動になりましたが、上手いこと秋晴れの日に行ったということもあり、中盤からはハイキング気分でウキウキです。普段は見えない東京の裏の顔、立派な山々に感動しながら歩いていきます。
美術館に対する期待も高まるし、これは楽しい!

途中丘の上から住民のお年寄りの方に「どこからきたの?」とお声掛けいただき、少しお話させていただいたり。途中で「ごぼう美味しいから持ち帰り!」と5本ほど立派なごぼうを見せていただきましたが、さすがに美術館に行くのにごぼう5本はまずい…。恐縮ながら遠慮させていただきました。
でもこういう交流は田舎出身の身としては懐かしく、これだけで来てよかったって気持ちになります。

途中の景色。スケールが段違いじゃー!

本当に45分かけながらもなんとか「深沢小さな美術館」にたどり着きました。

深沢小さな美術館は現代彫刻家・友永詔三さんのアトリエ兼ギャラリー。友永さんは1979年にNHKにて放送された大人気人形劇の『プリンプリン物語』のパペットを全て手作りで製作されたすごいお方です。
1979年なんて僕の父が産まれて数年経ったくらいの時期です。ちょっと歴史を感じますね…。

美術館の中には『プリンプリン物語』のパペットをはじめとした人形や木彫りが所狭しと肩を並べています。古民家を改装されたのことで、狭いことは狭いのですが、なかなか怪しげながらワクワクする、不思議な雰囲気のある内装をされています…。

入口。この奥に美術館がほんとうにあるのか…?

NHKの人形劇を作られた方というのもあってか、どこか童話的な世界観を感じますね。ここにくるまでの道すがらにちょくちょく飾られていた森の妖精ZiZi含め、子供心を呼び戻してくれるような展示に普段の忙しない大学生活で荒んだ心が洗われるようです。

童話的世界観に加えてもう一つ気づいたのが、仏教への傾倒です。
というのも、展示してあるのは人形ばかりではなく、仏像もかなりの数がありました。しかもそれはただの仏像ではなく、足をとても長くしてあったり、片足を半歩踏み出して腰をちょっと曲げさせていたりと、友永さん独自の仏像になっています。

片足を踏み出させて独特のポーズを取らせることによってどういう効果が生まれるのでしょうか。
個人的にそこには独特な「動き」が生み出されているように感じました。
普通のお寺に飾ってある様な仏像は、大体が決まったポーズを取り、整った印象を受けます。私たちはそこから具体的な動きを読み取ることが出来ず、The・仏像といった固定的な美しさを受け取るに留まってしまう気がします。
しかし、友永さんの仏像は片足を踏み出して腰を曲げることによって、仏像に人間的な動きを見出すことができます。
周りの童話的世界観と相まって、動かないはずの仏像に今にも動き出しそうな生命力を感じることができました!

展示室内。引用:https://matcha-jp.com/jp/7263

一言で言うなら童話×仏教美術のコラボレーション。ここでしか見ることができないかも…??

学芸員さんに話を聞いてみると、この美術館、一日に十人くればいい方なのだとか…。私がお邪魔した際は一人もおらず、たっぷり隅々まで堪能させていただきました。
たまには美術館までのんびりハイキングして、自然と世界観の調和を肌で感じてみるのもいかがでしょうか!

ちなみにこのあとまた45分かけて一人で駅に戻りました…。過酷!だけどリフレッシュできてたのしかった…!
普通の美術館と異なり、美術館の方とのコミュニケーションものんびり取れましたし、なかなか貴重な経験になりました!
普段の大都会からちょっと離れてみたい方!だいぶ極端なやり方ですが、いっそ秘境の美術館にお出かけしてみては!きっとちょっと世界が変わるはず!


最後までお付き合いいただきありがとうございました!ぜひTwitterもチェック!

博物館支援サークル「ミュゼさぽ」(@MuseSapo)さん / X (twitter.com)


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