むすたんぐ

2003年生まれの大学2年生。音楽(ヨルシカ)、写真、文章、知らない場所を歩くのが好き…

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2003年生まれの大学2年生。音楽(ヨルシカ)、写真、文章、知らない場所を歩くのが好きです。Twitter @mus_tang_words

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人生という作品──ヨルシカ『盗作』

⚠️小説『盗作』の内容に触れております。未読の方はご注意ください。 ヨルシカの3rdフルアルバム『盗作』の初回限定盤を受け取ったのは、片道一時間かかる学校へ、夏休み前の三者面談を受けに行った帰りのことだった。 ポストに佐川急便の不在伝票を見つけ、マンションの宅配ボックスから取り出したあまりに大きな段ボール。家に着くや否や待ちきれず、手を洗ってから玄関でうやうやしくそれを扱う。 盗作 -plagiarism- 灰色の表紙に銀で捺されたタイトル。それらを冠した一冊の本を持

    • Mrs. GREEN APPLEが描く人間の本質──The White Lounge 新潟公演ライブレポ

      はじめに──“The White Lounge”とは “The White Lounge”。名前を聴いただけでぱっとイメージもつかないようなこのツアータイトルは、2023年8月中旬に埼玉県・ベルーナドームで行われたMrs. GREEN APPLE 10周年記念ライブ「Atlantis」内で発表された。 Mrs. GREEN APPLEのFC “Ringo Jam”の会員限定の公演である上、北は北海道から南は福岡まで10都市を回るツアーである。もちろん各地のミセスファンは手

      • ヨルシカが愛される理由──ヨルシカ LIVE2023「前世」ライブレポ 【考察編】

         2023年1月・2月に、大阪城ホール(大阪)・日本武道館(東京)の二箇所にて、ヨルシカ LIVE2023「前世」が開催された。4daysで4万人以上を動員。キャパシティとしてはヨルシカ史上最大級の開催となった。  5年ほどヨルシカの音楽の虜となっている筆者はその歴史的瞬間を見逃すまいと、大阪1日目・東京1日目の公演に駆けつけた。 【前編・追憶編はこちら】 ヨルシカにとって「ライブ作品」とは  ここでは、今までのライブから、他のアーティストとは一線を画す場面もあるヨルシカ

        • ヨルシカが愛される理由──ヨルシカ LIVE2023「前世」ライブレポ 【追憶編】

           2023年1月・2月に、大阪城ホール(大阪)・日本武道館(東京)の二箇所にて、ヨルシカ LIVE2023「前世」が開催された。4daysで4万人以上を動員。キャパシティとしてはヨルシカ史上最大級の開催となった。  5年ほどヨルシカの音楽の虜となっている筆者はその歴史的瞬間を見逃すまいと、大阪1日目・東京1日目の公演に駆けつけた。 【後編・考察編はこちら】 ライブ本編レポート 近年稀に見る寒波が襲った大阪で、ヨルシカ LIVE2023「前世」が始まろうとしている。日中は晴

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        人生という作品──ヨルシカ『盗作』

          生まれ変わってでも​──ヨルシカLIVE TOUR「月光 再演」ライブレポ

          2019年10月。その年の夏に立て続けに公開された連作、「だから僕は音楽を辞めた」「エルマ」という二つのアルバムが紡ぐ物語。それを総括する作品として、「月光」と銘打ったライブが東名阪三箇所で開催された。 追加公演も含め4回公演となったツアーだが、一つひとつの会場のキャパシティが小さく、また映像化もされなかったことにより、居合わせなかったファンやその後ヨルシカを好きになった者からは「伝説」として扱われることも多かった。 そのライブの、2年半越しの再演。「伝説」の更新である。

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          ヨルシカ オンラインライブ「前世」ライブレポ

          ライブをすることすら珍しいヨルシカの、初オンラインライブ。どんなものになるのか、誰にも想像がつかなかったであろう。このライブの始まりは文字通り、「前代未聞」のものであった。 開始から30分、延々と泳ぐ魚が映し出されるライブなんて、一体全体この世のどこに存在するというのか。 オンラインライブを予備校の関係でリアルタイム視聴することができなかった私は、翌日再び授業を終え、気分も上々でパソコンの前に座った───しかしアーカイブ映像の最初に登場したのは、エイだったのである。 し

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          愛と大衆とアーティスト──ヨルシカ「春ひさぎ」

          「音楽という形にアウトプットした自分自身を、こうして君たちに安売りしている。俺はそれを春ひさぎと呼ぶ。」 先日公開されたヨルシカの新曲、『春ひさぎ』。サブスクリプションサービスでの配信から18時間、Youtubeにアップされたオフィシャルビデオの概要欄には、このような言葉が寄せられていた。 若者を中心に人気を集め、今話題のネット発アーティストの先駆け的存在とも言えるバンドアーティスト・『ヨルシカ』。2017年にボカロPとして活動していたn-buna氏[Gt&Compose

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          ヨルシカの美学──ヨルシカ「花に亡霊」

          4月22日に配信が開始されたヨルシカの新曲『花に亡霊』。先月4日に『夜行』が公開されてからおよそ1ヶ月半ぶりの新曲となる。 2020年4月に結成3周年を迎えた『ヨルシカ』。全曲の作詞作曲を担当するn-buna氏とボーカルのsuis氏2人によるバンドで、若い世代を中心に支持を集めている。 最近では大成建設の新CM『ミャンマー編』のタイアップソングに『春泥棒』(2020年4月25日時点でフルバージョンは未公開)が選ばれた。個人の活動としては、n-buna氏が『天才てれびくんh

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          人生の夜を行く──ヨルシカ「夜行」

          「人生の夜を行こうとする誰かに贈ります。」 n-buna氏[Gt&Composer]のそんな言葉と共に配信されたヨルシカの新曲、『夜行』。8月末に2ndフルアルバム『エルマ』が発売されてから、実に6ヶ月ぶりの新曲となった。 若者を中心に支持を集め、最近の音楽シーンを賑わせているバンドアーティスト『ヨルシカ』。「2020年 ネクストブレイクランキング−アーティスト編(Deview調べ)」の10代・20代部門で紅白歌合戦出場歌手のKing Gnuに続く2位にランクインし、「第

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          ヨルシカ「だから僕は音楽を辞めた」のルーツを歩く

          英検の二次試験(面接)の会場の抽選に外れ、少し遠い場所に飛ばされたのがきっかけで、西武新宿線沿いを歩こうと思い立った。武蔵関、東伏見、小平。かなり前から一度訪れてみたかった場所だ。 ​なぜここを訪れたかったのか私は音楽が好きだ。最早それがないと死んだも同然なほどに、音楽と関わることが生き甲斐だ。その音楽の中でも私が好きなのがバンドサウンド、特に「ヨルシカ」である。 ボカロPのn-bunaと、ボーカリストsuis(敬称略)が織り成すサウンド。清涼感・疾走感、時に暖かささえ持

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