インド物語 -コルカタ②-

画像1 翌朝になるとカラスは一羽もいなかった。ホテルの受付に聞いてもカラスのことなんか知らないと言う。空を覆っていたあの大群はどこに消えたのか。 街に出ると人だかりがあった。首を伸ばしてみると地元の人が軒先で家畜を断頭している。切られる前に首をまっすぐ引っ込めて、人の輪から抜けた。 子供たちがこっちを見ている。住宅地の真ん中でばっと寄ってきた子はペンをくれないかと言った。いつのまにか子供は群になっていてペン、ペン、ペンの大合唱が始まった。家の中からその様子を見ていた兄弟に気づいて近づいたら、照れながら笑った。

この記事が参加している募集

#404美術館

31,684件

サポートしていただいたお金で、書斎を手に入れます。それからネコを飼って、コタツを用意するつもりです。蜜柑も食べます。