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むるめ辞典

■接吻

[読]せっぷん

接する吻

[例文]

友達の部屋で二人きりになった私たちは、浮き立つような高揚に自然とキスをした。言葉はその後にやってきた。「待ってた」と彼女は言った。

5年後に再会した彼女からは特別な匂いがした。懐かしいだけなのかと思っていたらバターになった虎みたいに頭が溶けた。「こうなると思ってた」と彼女は言った。

彼女と私の口の中で混ざり合った欲望は、すごく濃密な固まりになった。まるでいつまでたっても失くならない甘い飴を舐め続けるように何日もそれを貪ってとめられずしばらく何も手につかなかった。

身体の深いところを求め合い、このままだとそのうち本当にバターになるんじゃないかと私は思ったけど、溶けてなくなる前にきちんと最期の時はきた。

サポートしていただいたお金で、書斎を手に入れます。それからネコを飼って、コタツを用意するつもりです。蜜柑も食べます。