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おいしいエッセイvol.3 まかない飯

学生のときに清水五条の居酒屋でアルバイトをしていた。

そこは古民家に囲まれた小さくてとってもおしゃれなお店で、いつもビートルズとかその時代の洋楽の有線放送がかかってて、時間がゆっくり流れる店だった。
モツとか大根とかのにこみがメインで。そこの料理も店長も大好きだった。

私はそこでホールのアルバイトを二年ほどしていた。
学生の飲食バイトといえば、やっぱり賄いだ。

そこのお店でも例外なく賄いを出してくれていたのだが、ほぼ毎日決まってソーメンだった。

全国探しても、あんなに賄いがソーメンだらけのお店は中々ないと思うが、驚くことにこれが全然飽きなかった。

毎回微妙にアレンジが違って、暖かいとか冷たいとかっていうのはもちろん、味も和風だったりちょっと中華っぽかったりと色々で、ソーメンのおともにご飯をいけちゃうような味だった。

そのソーメンをいつもごちそうたらしめていたのは、決まってトッピングに使われていた鶏皮だった。
そのお店ではフライドチキンのメニューがあったので、その余りだと思う。

鶏の皮を細く刻んだのと、青ネギのみじん切りがたっぷり載っていて、自分のソーメンのスタンダードは、夏に麺つゆだけでいくアレからこっちになった。

大学を卒業してからぼちぼち10年くらい経つが、我が家の冷凍庫にはいつも料理で余った鶏皮を入れたジップロックがある。

疲れた夜に遅く帰った日は、時々その鶏皮とネギ刻んで、ソーメンに乗っけて、出汁をかけて、自分のための賄いを食べるのだった。

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