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サウナ初心者フィンランド旅行記 - 2日目② 要塞島でテントサウナ

2019.11.2 (SAT)
ヘルシンキ(日本との時差 -7時間)
公衆サウナ② スオメンリンナのテントサウナ(ヘルシンキ港から船で20分ほど)

スオメンリンナの要塞島へ

世界遺産・スオメンリンナの要塞島へは、港から船で20分ほど。1時間に2本は出ていて、トラムなどと共通の1日パスも使える。

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公式サイトより

フィンランドが、まだスウェーデンだったころに作られた星型の要塞島。共産圏のお隣で、半島で、ヨーロッパで……このあたりはかつてだいぶキナ臭かった。

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赤々としたポスターのセンスよ……(島の戦争博物館にて)

なお、このSuomenlinna スオメンリンナの頭についてる「Suomi スオミ」というのは、フィンランド語でフィンランドとかフィンランド人の意味。要は日本における「Japan」「ニホン」のようなもの。


謎のイベント 「Viaporin kekri」

11月第1週の土曜日。そんな要塞島スオメンリンナで、「Viaporin Kekri 2019」というイベントをたまたまやっているっぽかったので、行ってみることに。

ただこの「Viaporin Kekri」……何なのかがさっぱりわからない。まず、日本語ではこれについて書かれたサイトがひとつも見あたらない。

頼みの綱のGoogle翻訳も(フィンランド語→英語のほうが日本語へ変換するよりも制度が高いはずが)

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ご覧の通りポンコツ

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公式サイトも「Kekriの祭り」……ってだからKekriって何?

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告知ビジュアルはハロウィン? ゴス? 北欧メタル? とりあえず怖いイベントじゃありませんように……。

多分収穫祭だった

船の中にも観光客はほぼいなくて、地元の人っぽい人ばかり。まじでなんのイベントなんだ。わからないままひとまず島に到着すると、さっそく黒い人たちに遭遇したので「What kind of festival is it ?」(適当)で尋ねたところ、

「あ、日本人ですか? 僕たち日本人です。大学で来てるんですけど手伝わされてて……」

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ふいうちジャパニーズ。完全に現地の人かと。似合ってすぎる。

「収穫祭……だと思います。“ハロウィンではない!” とは言ってました。」

スタッフにすらよくわかっていないイベント。なんでそんな不穏なファッションなの? とか尋ねるのも、もう諦めた。

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だから室内にこういうアート作品が飾られていたり、

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こんなオブジェが飾られていたり、

全然違う雰囲気のパレードが現れても、なんかとりあえずお祭りなんだなー、と楽しむことにした。順応って大事。

まさかのテントサウナに遭遇

戦争博物館の隣に、それは現れた。


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デデーン。突然のテントサウナ。(※補正でかなり明るくしてます)

ホテルサウナ、プールサウナと来たけど、これは実にワイルド。当時、私はテントサウナというものの存在を知らなかった。

ただ、昼間のプールサウナで手持ちの水着もタオルもびしょびしょだ。そもそも割とさっきサウナ入ったばっかりだしなあ……。うーん……。

今だったら間違いなく「テントサウナ! なにこれやばい! 絶対入るでしょ!」となるのだが、慣れない寒さとせっかく着込んだモコモコの服装が、好奇心と行動力を奪っていた。旅2日目で少し疲れが出ていたのもある。らしからぬ、消極的心境。

そこへ、いかにもな腹のでっぷりした上半身裸のおっさんが、フィンランド語訛りの英語で話しかけてきた。

「ヘーイ!このサウナはスペシャルだ! フィンランド人だってそう試せるもんじゃあない、絶対に入るべきだよォォ」

体からホカホカの湯気を出しながら、満面の笑みを浮かべるおっさんの姿にハッとする。そうだよ、ここはフィンランド。ここにしかない体験を求めてやってきて、われわれここまでやってきたんじゃあないのか?

バスタオルの貸し出しもあるというので、入ることにした。手渡されたバスタオルは若干濡れてた。日本以外によくあるこういうテキトーさ、嫌いじゃない。

サウナで感じるノスタルジー

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(※これも補正でかなり明るくしてます。)手前の緑テントは男女の更衣室。左の白っぽい部分が屋外のシャワーブース。

更衣室の中は簡単な仕切りだけなので、見ようと思えば異性側が余裕で見える。暗いので気にはならないけど、何か失くし物をしてしまいそう。カーペットが敷いてあって、適当に椅子が置いてあり、ハンガーやフックはご自由に。ロッカーなどはないため、セキュリティが少し心配だったが、まあ大丈夫だろ、と。(今思えば受付に預けた方がよかった気がする。別に何もなかったけど。)

湿ったバスタオルを巻いて、テントの中へ。

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真ん中にサウナストーンと炉。この木枠の高さが大体人の胸の高さくらい。随分大きな、大きなゲルっぽいテントだ。

5分に1回くらい係の人がやってきて、薪をくべたり、ながーい柄杓でロウリュをしてくれる。ジュワーーー。

席はL字型、3段になっていて、20人ほど入る。このときは私たち含めて5〜6人。混浴で、水着を着ている人と、バスタオルだけの人の割合は7:3くらい。男女は半々。年齢はまちまち。テントだからか、温度はそこまで高くないが、その分ゆっくり入っていられる。

ぱちぱちと薪が燃える音、ロウリュで水が蒸発する音。炭の薫りと、ナチュラルにムラのある湿度と、炎とランタンの静かな灯り。なんとなく、小学生のときに父と2人でキャンプに行って焚き火をしたのを思い出す。ぼーっと、いつまでも見ていられるあの感じ。じんわりした気持ちが蘇る。はじめてきたフィンランドで、まさかこんなノスタルジーに出くわすなんて……。

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さっきのおっさんがいたので「勧めてくれてありがとう」と少し話した。

「オー!東京から? 俺は日本のサウナにも行ったことがあるよ。友人が東京に住んでてねェ。なんだっけな、Tではじまる町で、タワーがあってね。」

「T? 東京タワー?」

「うーん、違う。住宅がたくさんある静かでいい街だったよ。」

「どこだろう……」

あとから気づいたけど、多分、田無タワー

おっさんは、田無の銭湯にでも行ったのかな。

サウナの飲みもの

テントに入る前に渡されたお酒。ベースのグレープフルーツ炭酸カクテル。氷結なんかよりも甘くなく、さっぱりしていて軽い。ぐびぐびいける。サウナは温度も湿度も高すぎないためか、中で飲んでも酔わないし、なによりすごく合う。

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一方、おっさんがよくサウナで飲んでいるのはこれ。デザインから酒だと思っていたら、ただの炭酸水だった。炭酸水が缶に入ってるってちょっと珍しい気が。サルミアッキ風味のもあるので苦手な人は注意が必要。

もう一つ、ミネラルウォーターも渡された。ジュースみたいな紙パックに入ってるなんて珍しいと思ったが、熱伝導率が低いからサウナの中でもずっと冷たいままってことに感動した。なるほど、うまくできてる。

サウナってライブみたい

隣の屋台兼バーで軽くごはん。

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寒さとサウナ効果も相まって、このボルシチすごくおいしかった。添えられているのは大麦のパン。つぶつぶしてて、ねっとり、もさっとしてる。

ああ、こんな偶然にすごいテントサウナに入ることができて、人と話して、美味しいもの食べて……。フィンランド、来てよかった。

区切られた空間で、同じものを見つめ、同じ音を聴く。そして、各々違うことを考えながら、各々の楽しみ方で過ごしている。

なんだかサウナって、プライベートな空間でのライブみたいだ。

……というか、そのものでは?

サウナは焚き火で、ロウリュはライブ。おいしいお酒とおいしいごはん。すごい。サウナ最高。フィンランドのサウナ最高。フィンランドにはまた絶対サウナのために来るぞ、マジで。

……マジでまた行くことになるんだけど、それについては来年に。

Ravintola Kuurnaでディナー

島で売っていたワイルドなトナカイ肉っぽいBBQがべらぼうにうまそうで、ああ、あれ食べたい、と若干悩んだが島を後にした。今夜はレストランを予約してある。

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こちら、Ravintola(レストラン)としか書いてないお店は、Kuurna。Google Mapで目星をつけていた店。Webから予約可。席は少し狭いが、客層も幅広く、とても賑わっていた。

ここのメニューは、季節によって変化する前菜とメインの2品コースか、デザート付きの3品コース。前菜、メイン、デザートのそれぞれは3種ずつの選択肢からチョイス。とてもシンプル。

旅先のレストランは、できるだけメニューが簡潔なところがいい。その日シェフが一番美味しいと思えるものだけを出してくれるような店。ベストは、メニューがないコース一択レストラン。慣れない英語メニューの解読に時間を要さなくていいし、あっちにしとけばよかった、といった後悔もしなくて済む。

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おいしいパンたち。フィンランドは硬くて薄いパンが多い。

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ビーツのミルフィーユ。しまった、またビーツだ。でも、この国のビーツはすごくおいしい気がする。何回でも食べたい。あとお皿がかわいいね。ナッツがカリカリと香ばしい。

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多分トナカイ肉のステーキと、パプリカのソース。根っこのソテーは、パースニップって野菜。ちょっと甘みがあってほっくりしていて、お肉とよく合う。


とても満足して、ホテルで再びサウナに入ってから就寝した。


明日もサウナ、明後日もサウナです。


Suomenlinna スオメンリンナの要塞

ヘルシンキ港からフェリーで20分。船は1時間に2本くらい。
トラムなどの共通パスで乗れる。
観光地なだけだと思っていたら、住宅っぽい建物もふつうにある不思議な島。

[営業時間]
季節によって異なるので公式サイトをチェック

[TIPS]

多分11月の最初の土曜日にこの「Viaporin Kekri」をやっているので、たまたまこの時期にフィンランド行くことがあればぜひ。民族楽器のライブや、芝でできたトナカイを燃やすイベントなども夜までやってる。屋台メシやレストランも多い。
テントサウナも、多分毎年あるんじゃないかな。水着持ってきてた人がいたくらいだから。保証はできないけど。












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