20110718 108回目の作曲のレッスン やっぱりまだ終わらない(ラスト)
今現在のBGMは師匠の曲『寒い国からの手紙』(十月の悪夢~1962年キューバ危機・戦慄の記録)。
なんか「マッチ買ってくださぁぁ~い」と消耗し続ける体力を振り絞って道行く人に声を掛けるマッチ売りの少女の姿が浮かんでくる(笑)。
昨日レッスンだった。と言っても、もう止めようと思った途端気力がいつも以上に無くなってきて何も持って行かなかったのでレッスンにはならなかったが。
レッスンの中断を申し出るに当たって、どこからどこまで話そうか、今思ってることを全部言ったほうが良いのか、それとも止めるのひと言で済ませたほうが良いのか・・・しどろもどろになるのが目に浮かぶのでとりあえず言うべき事を箇条書きにして持っていこうと考えていたが、結局それもやらず。
「あの・・・レッスンは今日で最後にしようと思います。続けたいとか言っておいて申し訳ないんですけど。時間掛け過ぎたというのと、和声を教えて頂くということだったのにそれ以上のことまで見て頂くのも厚かましいなと思ったんです。」
と言うと、
「そうなの?・・・まあそういうことなら仕方無いけど、和声以外をみるのは別に構わんよ。しばらく休みということにして、また連絡くれてもいいし。」
なんだか「このまま(中途半端な状態で)止めてしまうのは残念」「先生とお別れするのは名残惜しい」という気持ちを見透かされているかのように、「はいさようなら」という流れにはならなかった。
「時間掛け過ぎ?ま、いいんじゃないの?それがあなたのペースなんやから」
と言われてるような気もする。
「実は最近寝てばっかりで・・・たまにこれではいかんと思って勉強とか曲作りやるんですけど、5分くらいで頭痛くなってくるんです。」
もうこの際だからと、現状を正直に話す。
「まず音楽よりも生活を立て直さないと。難しいのは判るけど、夜中のバイトではなくてもっとちゃんとした仕事についたほうがいいよ。」
「ボランティアとかで教えたりとかいうのも考えてるんですけど・・・」
「ボランティアなんて、生活がちゃんと成り立ってる上でやるもんでしょー。」
そりゃそうだ。
夜中のバイト、長居する仕事ではないのは分かっているが、次が無い。
何も考えないようにしてひたすらやってれば実は結構楽な仕事ではあるのだが、でもやはり一生このままという訳にもいくまい。楽だからこその低収入。
貯金すら出来ない。今大病患ったらどうすんの?年金貰えない(かもしれない)のに老後の生活どうすんの?
子どもの頃のオレが今のこの姿見たら泣くぞ。成仏できない。
あるドラマでの登場人物のセリフ
「ギリギリの生活しながらでは上には行けないよ。東京ってところはのりしろが無いからね。」
あぁ~、すごいよく分かるわ。まんま自分のことではないか。
という訳で、師匠は自分の言語化していないところの本音を見事に汲み取り、「レッスン中断」ではなく「卒業先延ばし」という形をとって下さった。
部屋の中に東日本大震災の写真集があったので、もしや今度のお仕事の資料ですか?と問うと、その通りだった。
「先生のお仕事って、こういう関係のが多いですよね。またホント合ってますよね~。」
などと言うと、
「いや、最初にこういうのやったら次からこういうのばっかり来るようになったのよ。明るく楽しいのとかやりたくても回ってこない(笑)」
と。
一度悪女役やったら大当たりしてしまい、以降悪女役専門になってしまった女優、みたいなもんか。
明るく楽しい曲って結構簡単に作れるけど、ドキュメンタリー向けの音楽ってなんちゃってレベルでは難しいからな。
師匠が音楽付ける番組って、音楽が先のことがあるらしく、これはかなりレアなケースだろう。
一生掛かっても師匠の足元にも及ばないだろうが、それでも希望や目標というのは人間である以上絶対に捨ててはいけない。
とりあえず、色々なものを整理して、そこからまた仕切り直しだな。
今度は「ゼロからの再構築」ではなく、「1からの再構築」だ。
ゼロはいくら掛けてもゼロのままだと、最近気づいたわ(笑)
「また連絡頂戴ね」
と言って頂き、部屋を出た。
が、エレベーター待ちしてたら師匠が出てきた。
「ちょっとそこで待っててね」
と言って2分くらいの後、紙袋を手に。
「これ持って帰って」
中にはお中元のお裾分けとおぼしき食料品が何点も。
色々な意味で心配されてるんだな、自分。
駅へと向かう道すがら、師匠の優しさに泣きながら歩いた。
セミの声が聞こえない、暑い夏の日差しがまぶしくて、目から出た汁はすぐ乾いた。
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20231105追記:鬱病の中何かを身につけようとするとこのように恐ろしく時間がかかります。いくら頑張って勉強しても頭からツルツルとこぼれ落ちていくのです。
それでもなお師匠のところに通い続けたのは、何より「師匠のお人柄と音楽性」に強烈に惹かれ敬愛していたからなのだろう。
読み返して思いました。
そう言えば当時のブログの読者から「師匠のことほんっと心底大好きですよね〜☺️」と言われたことがありました。