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東京証券取引所のシステム障害からベンダーが学ぶべきこと

こんにちは!むらせまるです。

みなさんは東京証券取引所のシステム障害起因1日間全銘柄の売買停止会見をご覧になりましたか?

まだご覧でない方はこちらをどうぞ!
前半30分ほど視聴すれば十分だと思います。
(後半は記者の一部稚拙な質問が繰り返されるので...)
https://www.youtube.com/watch?v=ACFLlMXhlWg

ニュースやTwitterでもかなりトピックにされていたのでご存知の方は多いのではないでしょうか。

中でも宮原社長の
「市場運営者として、責任は我々にある」
「富士通への損害賠償は考えていない」

という言葉には本当に痺れましたよね!!

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ただ、ベンダー(今回なら富士通)は感動しているだけではいけません。

欧米なら間違いなくベンダー側へは非難轟々で多大な損害賠償を請求されていたと思います。

今回の出来事を美談で終わらせるのではなく、このユーザ側とベンダー側の関係性について再整理すべく振り返ってみましょう!!

どんなシステム障害だったのか

ざっくりですが図にしてみました!!

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① 運用系共有記録装置(1号機)のメモリが故障
② 2号機へのバックアップ切替が正常に動作しない
③ 運用系の他サーバー及びシステムに障害が出て、
 売買系ネットワークへ株価情報等を渡せなくなる
④ エンドユーザへの配信が停止される

根本的な原因、つまり「なぜメモリが故障したのか」については究明中とのことです。ただハードウェアに故障はつきものです。よくある話で防ぎようのできない事象だと私は認識しております。なので、世のシステムは機器故障時のフェールオーバーのためバックアップを用意しています。ですがそのバックアップへの切替が正常に動作しなかったこれが最大の障害といえます。この原因も究明中とのこと、、ベンダーの富士通へはこの二点の原因説明を追求されていくことになると思います。

うーーーん。
こういったバグがあった事実からすると富士通側の責任に重みを感じてしまいますね。。ただインフラ界隈では「バックアップ切替が動作しないのはアルアル」「100%網羅できるテストは不可能」との声が上がっているのでこういったIT世界での事実をユーザー側(東京証券取引所)の経営層へも認識共有できていたことが、宮原社長のあの言葉に繋がったのかも知れませんね。。。

東京証券取引所へどんな被害があるのか

もう少し今回の障害の"重大さ"を腹落ちしたいですね。では、株券の注文売買を終日停止する際にはどのような影響があるのか整理してみましょうっ。

東京証券取引所の競合は存在せず、個人投資家への損害賠償もしないとしています。なので、金銭的なダメージは致命的なものとはならないと思います。主な影響は信頼度の低下日本の金融インフラに対する脆弱イメージ定着です。

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注文売買が1日間停止したことによって、証券会社が依頼を受ける投資家の売買注文が失効になってしまったり積立投資を注文確定できず...と、てんやわんやです。証券会社は東京証券取引所に高額な取引参加料を支払っているため不満も大きいはずです。東京証券は契約している証券会社からの信頼回復を取り戻すことが先決となりそうですね。

また海外からのこんな声が聞こえてきそうですね。
「ニホンの金融インフラはまだまだデスネ!」
「ショボーーーーーイ!!」

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これは大したことないというか、別状被害がある訳ではないですが、海外の投資家が日本企業に投資する機会を減らしてしまう可能性はありますよね。それにブランディングはやはり国レベルでも大事です。

正直この章は、専門外のこともあり的外れな意見を述べてしまっているかも知れません。ご指摘お待ちしております!!

ベンダーが学ぶべきこと

今回の事象からベンダーが学ぶべきポイントは何でしょうか。私は以下の2点であると思いましたっ!

① 運用こそ堅牢におこなうべき
② 完璧なシステムは存在しないという認識共有

① 運用こそ堅牢におこなうべき
「運用ってなんか気が入らないんだよなぁ..」という声が聞こえてきますねぇ(はい。自分の心の声が漏れています笑)

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でも共感してくださる方は多いのではないでしょうか。運用って開発と違ってモノ作りでは無いし、「本当にこんな場合ありえるの?」というケースに備えたりしなければなりません。

しかし、この運用を怠らなかったことが今回の障害を"不幸中の幸い"にしたと考えています。そう今回の件で賞賛されている迅速な意思決定につながるのです!!

時系列をみてみましょう。
朝 7:04 システム障害を検知
朝 8:01 取引参加者に障害発生を通知
朝 8:36 売買停止を発表!!!!
朝 8:54 ネットワーク遮断を実施

これ早朝ですよ...??
にも関わらず障害の検知からおよそ1時間半で売買停止の発表。大企業でこの意思決定の早さ...尋常ではないですよね。

現場エンジニアの力量(障害事象の状況把握)もさることながら、エスカレーション方法や、社外及びエンドユーザへの影響を把握した上での意思決定キーパーソンがしっかり確立されていたことが想像できます。

これは全て運用フェーズで形付けられるものです。したがって、堅牢な運用が無ければ、意思決定はさらに遅れており大きな信頼低下に繋がっていたかもしれないですね。

うーーーーんっ備えあれば憂いなし!!!

② 完璧なシステムは存在しないという認識共有
システム技術者は誰でも理解していることの一つに「どんなシステムでも障害0%の確証はない」があります

ですがシステムの発注側であるお客様はそこに理解が無い場合が多くあります。

「障害を起こすなんで言語道断!」
「なぜそんな簡単な見落としをするんだ!」
「テストしたって言ったじゃないかー!!」
※誇張表現を含みます。

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ただこれに関してはお客様だけが悪いのではなく、ベンダー側がこの「完璧なシステムはない」という事実を共有できていなかったことも問題です。

肝心の東証は、この認識を経営層にまでインプットさせていることが会見から垣間みえていました。それはベンダー側(富士通)とユーザ側(東証)の熟成されたコミュニケーションを確立できてたことでもあると思います。

ここでの学びポイントは以下です。
★完全なシステムは存在しないことをユーザと認識合わせし、運用保守の重要性を共有すること
★上記を通して、システムに対する理解を共有し、ユーザーとベンダーがOneチームで製作することで信頼関係を高めること

このようなポイントを東証と富士通は確実に実施していたことで、中原社長の責任所在に関する発言や迅速な障害対応に繋がったのだと理解しています!

ふむ。。。
改めて安心安全信頼のような軽々しく使われがちなワードが本当に重要で、そこにアジャストするための取り組みは最優先に行うべきだと痛感しますね。。

ユーザーとベンダーの関係性

今回の件を通して東証への評価は寧ろうなぎのぼりです。富士通への糾弾も最小限であったのではないかと思います。

しかし、これをそんな綺麗事に終わらせていいのでしょうか。この東証と富士通の関係性は本当に理想といえるものなのでしょうか。この視点で腹落ちさせていきたいと思います。

★東証と富士通の関係GOODポイント
・システムに対する緻密な認識と情報共有
・確固な信頼関係の構築(憶測も少々)

★東証と富士通の関係BADポイント
・東証→富士通へのリスペクトは感じたが、富士通→東証へのリスペクトがみえなかった。(富士通側の謝罪動画を視聴して)

富士通の時田社長 謝罪動画
https://www.youtube.com/watch?v=qVnIRQUmYn0

富士通→東証へのリスペクトがみえなかったというのは、過剰な発言かもしれません。しかしながら、そう感じた世人は多いと思います。そして事実としてベンダーからユーザーへのアプローチが少ないように感じています。

以前はお任せ気質のユーザー側が問題視されていましたが、IT活用が絶対的なDXへのシフトが加速している今は、ユーザー側も幾分理解いただいている方も増えてきた現状があります(まだまだ縦割りの企業気質とお任せ体質が残存しているユーザー側も結構います)。つまりベンダーへの期待や責務は増していると思います。

今までは、モノを提供していたベンダー。富士通も東証に対してアローヘッドを提供して、より高速な売買を実現しています。これは素晴らしいことです。ですが、これは「高速な売買をしたい」という明確な価値が見えているケースで、その手段が「アローヘッドの提供」でした。

ただし、これからは「○○をしたい!」という明確な価値が不明な時代です。この「○○をしたい!」を見つけるのはユーザーだけでなく、ベンダーにもミッションが課されます

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ではベンダーとユーザーが一緒になって考えた「○○がしたい!」という価値が世間を騒がせた場合、ユーザーだけが揃う謝罪会見は何か違和感を覚えませんでしょうか?

このへんでまとめてみますっ

これからのベンダーはユーザーと一緒になってビジネス的、社会的な価値を思考(試行)していく時代です。単なるモノの提供でなく、その先の変革までが責務になります。そういう意味では責任の所在を明確化するのはナンセンスと考えています。これはかなり夢物語といいますか非現実的なこととは理解しています。ですが、ベンダーはそういうマインド(上記責務の理解と意思)でいるべきだと思いますし、その姿勢でユーザーと共創して世間へもアピールしていくべきです

という何ともまとまりきっていない記事でした。。。まだまだロジックが詰めきれていないのと、最終的に根性論というか感情論になってしまうのは反省ポイントです。。。

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本日も最後まで読んでいただき本当にありがとうございます!!ぜひフィードバックお待ちしています!

また、DXの話題もでたので、こんな記事もお暇なときに見てみてくださいませーーーー!!


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