短編小説:蜘蛛姉(改稿)
旧版:v0.0.1
姉1 ほとんどの場合、思い出というものは自動的に消滅するものだ。あたしが自らの進路を決めあぐねている今この瞬間も、四月になってしまえばきっと忘れているだろう。
ボールペンの先を咥えて、ただ天井を眺めていた。唇の先で感じる揺れと重み。教科書に落書き中は、ペンの重さなんか決して意識しない。それをあたしに感じさせているのは、きっとテコの原理というやつだ。「こんなことも知らないの?」ってバカにされたから、言葉だけは覚えていた。椅子の後ろ足の二本だけで、自分の体