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へやのなか

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#詩の創作

いもうと

いもうと

おねえちゃん、おねえちゃん、
だいすきだよ

おねえちゃん、おねえちゃん、
大すきだよ

お姉ちゃん、わたし
貴方の妹で幸せよ

どんな貴方もわたしの姉だって
気づいてほしいのよ

頼らせてね 生まれたその時から側にあった貴方
頼ってね わたしの一から百までを見てきた貴方

大好きよ それしか出てこないの

夜空

夜空

広がる視界は暗いけど
ときどき笑うみたいに眩しい

伸ばした手は冷たいけど
どこまででも届きそうな気がする

歩いて何分 何時間
まだまだ何年 何百年

レンズが受け止めた今この瞬間に
そこにはもういないのかもしれないけど
あやふやな光を永遠みたいに頼って

進んで何歩 何メートル
途方もなく何万キロ 何億キロ

むつかしいことは分からないけど
遠いおかげで近くなれるから

同じ月を迎えて
同じ星

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2月の雪 ( 朗読・伴奏 )

2月の雪 ( 朗読・伴奏 )

もう何度目でしょう
いつもいつも音は無く
あるものを無かったみたいに

喜ばれたとて 疎まれたとて
なんにも気にも留めない風で

あなたを羨む私を
仲間に入れてはくれませんか

塵として埃として
冷たくなって重たくなって
舞って流れてどこかへ飛んで

私の元へも集まって
私の形にかたまって
境目のないように
誰にも分からぬように

あなたを羨む私を
共に溶かしてはくれませんか

儚くなくても美しく

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万華鏡

万華鏡

ねえ 筒抜けだよ

「当たり前だろう 万華鏡なんだから」

万華鏡って、覗いたらどんな景色なの?

「そりゃあ数えきれないほど満開の華やかな景色さ」

へんなの こんなまっくらのこと 華やか、だなんて

「ハハ、そりゃ覗き方が悪いんだ 天に向けて光を入れてご覧」

テン

「お空のことだよ お日さんののぼってるこの広ーい所さ」

広ーくて、まっくらで、ヒカリがハイって、オヒサンのいる、テンね

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つめあと

あなたの知らぬところで

わたしは枕を濡らす

あなたの知らぬ間(あいだ)に

わたしの唇が弧を描く

あなたのいない土の上で

わたしは首をもたげる

あなたの残したつめあとが

わたしの喉をぎゅうっと絞る

あなたの残したつめあとを

わたしの指がそうっと辿る

あなたの残したつめあとは

ひどく冷たい ひどく優しい

SELF LOVE

SELF LOVE

勉学に励み 埃と誇りを高く積む

草花を摘み 嗅いで見つめて彩って

体を彩り 顎を上げてコツコツ鳴らす

音を生(な)らし 反吐も慈愛も空気に揺らす

己(おの)が両手で彼奴を… 憤り沸き立つ

大の字に身を投げ出して地に返り 無に帰す

家の扉をくぐり 家族の笑顔と飯の匂いで腹を満たす

肉を削ぎ筋を充し 線を描く

只管な手と筆は繊維をすべり 残したいものがある

誰も皆 ニンゲン
誰も皆 

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