読書メモ(ミレニアル起業家の新ものづくり論)

■感想

・数年前に読んだ本を再読したが、非常に学びの多い本だと再確認した。世代による価値観の違いを捉えるという本書の趣旨はもちろん、ユーザーに対しての考え方やファクトで捉えることの大切さなどビジネスにおける基礎に関しても改めて深い学びがあった。学生時代Wantedlyでインターンをしていた時のエンジニアに対するリスペクトの文化やユーザーファーストの捉え方などどこか懐かしい気持ちになった。peopleチーム元気かな〜


■作者及び概要

・作者は仲暁子。ゴールドマンサックス、facebookのちWantedlyを創業。「BtoCの領域においてなぜ日本から世界で活躍できる企業が減っているのか」を問いた本。不透明な時代を生き抜く20代、30代の指針の一つになればとの思いで執筆。

■良かったインプットメモ

・事業作りに必要なスキルは「生産性」と「思想」である。生産性は現場の努力によるチリツモとR&Dによるイノベーションに近い生産性の向上がある。一方思想はブランドやストーリー力であり、日本人はチリツモには強いが思想に弱い。物があふれる時代においてストーリー力はより重要になってきている

・新しい世代ほどスペックよりもストーリを重視している。仕事においても同様で創造的労働に集約化され、ルーティンワークはAIが行なっていくであろう。今後ルーティンワーク従事者は職を失う一方生きていく上で必要なコストは無料に近くなっていくためある種「ロボットのペット」となる

・これからのビジネスは半径1mでビジネスを行う多数派と彼らが使うプラットフォームを提供する多国籍企業とに分かれていく。

・仲さんが推奨する幸せに生きるためのステップは①己を知る(パターン認知の罠をメタ認知する)②己の快を知る(快パターンを知る)③己の快で食っていく ④他人の快がわかる(想像力をつける)

・ミレニアル世代には8つの特徴がある。①所有よりアクセス ②コスパ重視 ③健康に気を使う ④貯金する ⑤LGBTが多い ⑥ポリコレ(ポリティカルコネクトレスの略でマイノリティを攻撃することを慎む傾向) ⑦「何のために」を気にする ⑧アーリーアダプターが2.5倍多い。その世代に対して有効なものが「トライブ」である。

・「トライブ」と「ラベル」は似ているようで大きく異なる。「トライブ」は快適なパターン(感情や思想)への共感から生まれるものであり、「ラベル」は共感が抜け落ちたステータスのみ残ったものである

・仕事に集中してコミットするためには「自立、共感、成長実感」が重要である。

・足し算よりも引き算が重要である。「イノベーションのジレンマ」でも安くてシンプルなもので業界を破壊したプレイヤーがその後オーバースペック化してディスラプトされていくとの話が有名。

・大前提としてユーザーは自分の欲しいものがわかっていない。だからこそユーザーに聞くのではなく問うことが重要である。例えばそれはMAUや直帰率、リファラル率など数値的なものを元にPDCAを回すことができる。

■その他メモ

・ルーティンワークは賃金が上がると生産性が向上するのに対して、クリエイティブワークは賃金が上がるほど生産性が落ちるという研究結果がある。(モチベーション3,0に書いてあるらしい)

・岡本太郎の「自分が頭が悪かろうが、面が悪かろうが、財産がなかろうが、それが自分なのだ。すなのに悲しむより他がないじゃないか」に代表されるように改善するのではなく、素直に受け止めることがまず大切である。

・仲さんの中学時代の同級生がフラフラしたので履歴書を一緒に書いたりしたが結局彼女は面接に行かず職につかなかった。人の幸せは人それぞれであり、自分の幸せがわかっていることが幸せである。

・仏教には「妄想や心の求めるものを自覚し、それを理解し、逆に慈悲の心に変えよ」問い教えがある。全ての悩みは妄想に過ぎないという上で相手の幸せを願うという教え。人の究極の幸せとは他人の幸せである。

・ノーベル経済学賞を受賞したカーネマントディートンの研究によると年収800万以上を得た時の幸福指数に相関性はない。

・好きなものを知るにはとりあえず片っ端から口に入れていくのが早いように動き回る以外に近道はない。

・採用でオススメの本は「How Google Works」「ワーク・ルールズ」

・スタンフォードのMBAの教授の話ではスタートアップにとって最適な超脱方法は株式でも再建でもなく自分達のビジネスから生まれるキャッシュフローである

・500 startup が提唱するAARRRがある。acquisittion(ユーザの獲得)、activation(最初のきっかけとなる体験をしてもらう)、retension(継続利用してもらう)、refferral(口コミ)、revenue(収益)。特にacquisittionが重要である。


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