デザインの道を選んだ理由

2023年4月22日 12:39

「村上はな」は、本名ではなく活動名。だから、スイッチがバチっと入る。
夢はデザインでみんなを笑顔にすること。
今回は、そんなわたしがデザインの道に進んだきっかけのお話。

全てはミカンから始まった

静岡の農業の会社で働いていた当時、中高美術部だったわたしは部長に「資料用のイラストを描いて」と頼まれた。
笑っている簡単な挿絵でよかったけれど、せっかくだから農業に関係のある絵にしてみようと考えた。それに部長は楽しいことが好きな方だから、喜んでくれると読んだ。
数日後、静岡の特産品であるミカンのキャラクターを描いて提出したら、案の定とても喜んでもらえた。「はな！面白いやつだ！」と言ってもらえて、とても嬉しかった。

そして、会社ではミカンのキャラクターを使って農産物を広めることになった。デザインのことをなにも知らなかったので、休日はパソコンスクールに通ってデザインソフトの使い方を習い、ペンタブを買って練習し、色彩検定やカラーコーディネーターの資格も取得した。
すこしずつ会社で名を知られるようになり、農産物を運ぶトラックや商品のパッケージ、チラシなどのデザイン、着ぐるみの監修など、いろいろと携わるようになった。

ある日、スーパーへ行くと自分の描いたミカンキャラクターが印刷されたダンボールが並んでいた。心が震えた。不思議な感覚だった。
なにより嬉しかったのは、農家さんからいただく言葉。
「娘にミカンを送ったら、かわいいって」
「東京でもトラックを見たよ」
もうデザインは、わたしの生きがいになっていた。

退職を決意

ある日、とても忙しい部署へ異動した。そこでは、一般業務とデザイン業務の両立が難しかった。レジ打ち、キッチンでの調理、配膳と片付け、商品の梱包と発送、農産物の配達、伝票処理、経理、電話応対、事務改善、棚卸、デザイン制作…。
くる日もくる日も残業が続いた。
突然、メールの文字が読めなくなった。お客さんのはなす言葉が外国語に聞こえるようになった。

うつ病と診断された。

…そっか。

それから、お仕事をすこし休むことなった。続けようか、辞めようか。生きがいってなんだっけ？よく分からなくなっていた。
そんなとき、ふと農家さんの笑顔を思い出した。デザインで農産物の魅力を伝えられたとき、喜んでもらえたなぁ。農家さんの笑顔を思うと、緊張した心がゆっくりとほぐれていった。
あ。
わたしの生きがいは、困っているひとに寄りそいデザインで笑顔にすることなんだ…！

「デザインを勉強するために退職したいです」
意を決して上司に相談した。
結果、退職はしなかった。会社が夢を応援してくれた。
それからは、東京のデザイン学校に通いながら会社で働いた。卒業したあとは静岡の会社へもどり、広報の仕事をした。ものすごく楽しかった。そして、結婚を機にお世話になった会社を退職した。