パワポ諸葛亮

諸葛亮から学ぶ「セルフブランディング」を科学する

こんにちは!けんたろと申します。
大学などで講演をさせていただく機会が多く、その時に反響いただいた話をnoteにまとめてます。
経営戦略や、スキルアップに関するテクニックを事例を交えながらご紹介してます。

今回は「セルフブランディング」をテーマに
三國志に出てくる諸葛亮(しょかつりょう)の振舞がめちゃくちゃ参考になりそうだったので、書きました。
今回の概要はこんな感じです。
※なお、史実から若干の差分があるかもですが、お許し下さい

諸葛亮のおさらい

諸葛亮と言えば、三國志を読んだことがない人でも知っている人が多いほど有名な軍師だと思いますが、簡単におさらいをしておきます。

今から約1800年前の中国は、「魏(ぎ)」「呉(ご)」「蜀(しょく)」の3つの国で覇権を争う、乱世まっただ中でした。
そして、三国のトップがそれぞれ自らを”皇帝”と名乗り、中華三つ巴となった様子を描く『三國志』にでてくる武将/軍師の一人が諸葛亮です。
「蜀」軍の劉備(りゅうび)に仕え、様々な奇才を発揮する天才として描かれ、戦争における戦略の検討や、人・天命を占うこと、更には天気まで操ることで戦(いくさ)を有利に進める様子が印象的に描かれています。

今よりも科学が発展していない1800年前の当時において、どのようにこんな奇策(詳細は後述)を成していったのでしょう。
キーポイントは「ブランディング」にあると思うので、そのあたり考察を深めていきます。

このnoteを読み終えた時には、セルフブランディングの「重要性」とその「獲得に向けたヒント」を感じ取っていただけるかなと思います。
是非最後までお付き合いください^^

赤壁の戦いのおさらい

諸葛亮のブランディングにフォーカスする前に、一体どんなことを諸葛亮が行ったのか、まずは事例から見ていこうと思います。
色々な施策を講じた諸葛亮なので、今回は、映画『レッドグリフ』でも題材にされた戦争、赤壁の戦いを事例に見ていきます。

*赤壁の戦いとは
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天下取り王手まで強大になっている曹操(後の”魏”皇帝)軍に対し、孫権(後の”呉”皇帝)と劉備(後の”蜀”皇帝)が手を組んだ合従軍で長江という巨大な川を挟み、赤壁(地名)近くで起きた戦いのこと。

この戦いが起きる前、諸葛亮は、今曹操を叩かないと天下を取られると見積もっていました。一方、諸葛亮が所属する劉備軍では曹操に敵う十分な軍力もなく、孫権との協力が必須でした。
そして、この協力体制(=合従軍)でも、端からは到底勝てないと言われるほど、実力差がついた状態だったといいます。兵数も10倍の差があったほどです。

そして、それは孫権(そんけん)とその軍師 周瑜(しゅうゆ)も同じ見解で諸葛亮からの合従には消極的でした。
そこで周瑜は諸葛亮に対し、
「曹操と戦うにしても、”矢”の数が10万本近く足らない」
とのこと。

この流れで予想できると思いますが、諸葛亮はとんでもない方法で弓矢10万本を用意することになります。

*草船の計
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スライド5

諸葛亮は霧が深く、寸分先の景色が見えないほど真っ白く曇ったある日、長江を曹操軍に向け複数の船で攻め立てます。
視界の奪われる中、こっそり攻め立てるのではなく、太鼓を叩き、敵襲をわざわざ知らせるようにして曹操軍に近づきました。

曹操軍からすると、何も見えない中、太鼓の音が近づいてくる。恐怖でしかなく、兵隊はひっきりなしに手元の弓を打ち続けます。
しばらくして、太鼓の音と共に諸葛亮を乗せた船は去っていきました。

そして、この時、諸葛亮の船は通常の船のカタチとは異なり、草の屋根がついた改造された船でした。自軍には、屋根に10万本以上の矢が刺さった状態で戻り、諸葛亮はこう言います。

「天気を”操り”視界を奪っておけば、自ずと矢を放つことは明白でした。そして約束の10万本の矢は準備しました。さあ、戦いましょう。」と

そうして、赤壁の戦いはクライマックスに向け、着々と準備が進められていきます。
曹操のいる北華(中国北部地方)は、海に面しておらず、船での戦いになれていないため、この長江での戦争はチャンスでもあったようです。
そして次の諸葛亮の施策が放たれます

*赤壁の火計
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スライド6

結論から言うと、曹操軍の船を一網打尽に焼き払いぶっ倒すことが赤壁における戦のポイントになります。
その為に、まず諸葛亮は曹操軍にうその情報をリークしました。
「海に慣れない曹操軍は船酔いするであろう。船同士を鎖でしっかり括り付ければ、船酔いは起きない。戦になっても足場は安定する。」と

そうして、火をつけられれば、次々と燃え広がるよう曹操軍を操りました。
あとは火を放つだけでしたが、問題はもう一つ。
曹操軍の方角(東南)へ強力な風が吹いていないと、本陣まで火が届かず大打撃を与えるに至らないという。

ようやく、ここで活躍するのが、諸葛亮なのである。
諸葛亮は赤壁付近に祭壇を作らせ、そこで舞い踊ったよう。原作を読んでいた僕は下記ようなイメージを持ちました(笑)

スライド9

そうすると、東南から突風が吹き、火は見事曹操本陣まで届き、ほとんどの敵を焼き払い勝利を収めました。

〇本題:諸葛亮のブランディング

ちょっとおさらいが長かったですねw
ようやく本題ですが、ブランディングにフォーカスしてこれらの計を見ていきます。

これら2つの計(=作戦)の共通点を見ていくと、
諸葛亮は、”天気予報”ではなく、”天気を操った”というブランディングがされていることです。
もちろんこれらの話は三國志演戯として語られた内容なので、フィクションも混じる物語ですが、
なぜ諸葛亮は天気を操るブランディングを取ったのか。学びとして抽出していきたいと思います。

スライド7

当時諸葛亮は、人事権が及ばない他国の人々(孫権やその兵)を動かす必要があったんですよね。もちろん天気を操る方が、予想できるよりもクレイジーで脅威ですよね。
どんな地域もはるか昔は占いができる人が権力を得るのが普通でした。卑弥呼も占い師ですしw

なので、だれでも「俺、未来操れます!!!」って言うブランディングを採りたがるんです。権力を得れる必殺技ですからね。
さて、このときに重要なのが、”マーケティング”と”ブランディング”の違いなんです。この2つの観点から諸葛亮の採った施策を振り返ってみたいと思います。

スライド3

上記サイト面白いし、さくっと読めるので是非詳しくはそちらを参照いただきたいのだが、
マーケティングとブランディングにアドバタイジング、PRを加えて4つを整理しているんです。

サイトによると、
マーケティングは自分が話者。自分を売り込んでいる。
アドバタイジングも同じく自分が話者。こちらは何度も伝えることで印象付けを行っている。
PRは話者が他者。もちろんだが、他人のおススメは効果大である。
ブランディングは、伝えたい相手が自分をみた時にもう脳内にインプットされている状態が記載されている。

そう。いくら自分が「天気を変えれます!本当です。勉強も超絶してます」と伝えてもなかなか伝わらないのだ。
諸葛亮は相手に「こいつは天気を操れるな!やべえ」と思わせるために、これらの計を諮ったんだと思います。

だから、祭壇なんて作らせ、崖の上で踊り狂うという奇抜な行動をしているんですよね(笑)
実際の諸葛亮は、腹の中では「この日・この時間、東南から風は吹くことは自明なんだよねー。別にそんなの教えても予想師でしか扱ってくれないだろうし、”ブランディング”してやろう!へへへへ」なんて思っていたのではないかと思います。

ブランディングに大事な印象付けの設計

この奇抜な行為は確実に印象に残るんです。そしてそれは言語となって、自国にも他国にも伝えられていくんですよね。その結果諸葛亮を見た当時の人々は「やべえ、天気操る人だ・・・。」ってビビりまくった姿が作中の中で描かれていきます。まさにこれこそブランディングだと思いました。
諸葛亮が何も語らずも勝手に語り継がれていますからね

読者の方の中には、例えば信号待ちをしているとき、側面の信号機が赤に変わったことを見て、対面信号機がまもなく青に変わる瞬間、指パッチンをする人を見たことがあるかもですが、(←ない?w)
このとき、この指パッチンの人は、本当は法則に照らしただけなのに、あたかも自分が魔法で変えたと振舞っていますよね。
あれも、その原理がわからない子供からは崇められるブランディングである。
何も奇行なく「信号変わるよ」と伝えてもストーリーとして語られにくいが、指パッチンをすることで、その奇行がセットとなり、みんな(=子供)が誰かに伝えたくなっている。この状態を作ることがブランディングだと思います。

そして、ブランディングの巨匠がこの印象付けについてカンヌライオンズという世界最大級の”広告・コミュニケーションなどに関する祭典”で語ったお話がめちゃくちゃいいんで紹介します。

スライド4

P&GのCBO(チーフブランディングオフィサー)が語ったのがこちら

moving from Mass Marketing to Mass Mattering
(意訳:伝えたい相手に伝えたいことを伝える従来型のマーケティングは、マスマタリング(=みんなごと化)というコミュニケーション手法に替わっていくべきだ)

マスマタリング・・・、
あまり聞きなれない言葉だと思います。僕もこれを初めて読んだ時にどういう意味なんだろうと辞書を引いてみましたが明確な意味は掲載されていませんでした。
直訳では”みんなごと化”と訳されるのですが、要は
ブランドがブランドの話をしていなくても、みんながブランドの話をしてくれることが大事ということ。
ブランドの資産、ブランドアセットになにかをかけ合わせて、みんなが思わずしゃべりたくなったり、みんなが思わず伝えたくなったりする構造体を作ることが語られました。

今回のケースだと、諸葛亮が持つ資産(=天気予報)に、奇抜なストーリを作り、敵味方が思わず語りたくなる構造体を作ることが、
うまく設計されているんですよね。
現代のブランディングではここにSGDsなどの社会問題を組み合わせてブランディングされるケースを良く目にします。

この社会的なテーマをかけ合わせることによって、ブランドをみんなごと化していく。これは、トップブランドがやる戦略ですが、それをパーソナルブランディングに落とし込むことはとても重要なんだと考えています。

長々と書きましたが、ここが今回最もお伝えしたかったポイントでした。
最後まで離脱せずお付き合いいただいた方に何かしらお持ち帰りいただく知識をGiveできていればとても幸いです^^

個人スキルのブランディング

現在の社会では本当にスキルを持っている人ではなく、スキルを持っていそうと思われている人に仕事が集中している様子をみたことがないだろうか。
それらの人は、まさしくこのマスマタリングをうまく設計しているんだと思います。

何か突出したスキルを身に着くまで、隠して隠しぬくのではなく、
そのスキルがある一定量身に着いたら、今度はどのように周囲に見せていくか。その時の論点は”どうしたら周囲の人が思わず伝えたくなる”ようになるか。
これに応えていくことがセルフブランディングへの打ち手になるんではないかなと考えています。

プロノバ代表の岡島悦子さんが語られる”タグ”について、発掘するよりも、まずは振舞うことにフォーカスしてみるとまた違った結果が得られるかも知れないなと思います^^


最後に

最後に余談ですが、諸葛亮は、三國志終盤、大失敗を冒します。

スライド8

単なる天気予報士としてブランディングされていたら、こちら万死に値する失敗だったでしょう。もしかしたら処刑されていたかもしれません。
ただ、この時には、上記施策を成功させ、軍師のポジションを得ていました。失敗自体も神話として語り継がれ、敵を奔走させる諸葛亮。

皆さんも、
他人よりもほーーーんの少しだけでも秀でているところを見つけたら、見せ方の工夫でマスマタリングしてみてはどうでしょう。
そのブランディングは今は実力がイメージに追いついていないかもしれませんが、イメージに結果や実力が追い付いていくことも多々あると思います。

セルフブランディングの重要さとその仕掛けについてヒントがあれば幸いです。ではまた!

けんたろ

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