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入院中にリハ専門職が直接介入するリハビリの量はどのように推移すべきか

 私は、保険医療機関で100名超規模のリハ専門職の部門マネジャーをしています。私の主な仕事の一つに「採用」がありますが、年々難しくなってきている印象があります。その背景には、少子高齢人口減少社会の進行により、リハ専門職の「なり手」が減少している一方で、リハ専門職の主な対象である高齢者の増加が影響していると考えています。もしもこの仮説が正しければ、リハビリが必要な方に十分なリハビリを提供することが今後徐々に難しくなることが予想されます。したがって、限りあるリハビリ資源を効果的・効率的に投入するための論理を検討する必要があると考えます。

 リハビリ資源が限られている中で、それを効果的・効率的に投入するためには、「選択と集中」が必要になります。つまり、リハビリの必要性が低い方に対するリハビリの量を減らし、その分をリハビリが必要な方にまわすということです。リハビリの必要性が低い方には2つのパターンがあります。それは、① リハビリの効果が期待できないパターンと、② 自らリハビリを行えるパターンです。そこで私が考えるのは、②の方への直接的な介入を漸減させる方法です。

 私たちの組織では、スケール・メリットを活かして入院後速やかに必要最大量のリハビリを提供し、それを退院日まで持続させるという戦略を採用してきました。これは、下の図ではパターン1に該当します。

 リハ介入量のトレンド

 この介入量のパターンは他に、退院に向けて増えていくというパターン2と、退院に向けて減っていくというパターン3が考えられます。そこで、私のツイッター(フォロワー約640人)で調査期間24時間のアンケートを実施しました。アンケート内容は以下の通りです。

 結果、6割弱はわれわれと同じパターン1であることがわかりました。次いで4割弱がパターン3、5%弱がパターン2であることがわかりました。この設問に回答していただいた方には続けて、本来どうすべきと考えるかについてアンケートを行いました。その結果、約7割の方はパターン3、約3割の方はパターン1にすべきと考えていることがわかりました。

 ツイッターによる調査であるため、回答者の属性などに偏りがあることは否めませんが、多くのリハ専門職の方がパターン3にすべきと考えている中でパターン1となっている現状がわかりました。本来減らしていくべきと考えながらそれができないというのは、リハビリが出来高算定となっていることによる経営的な理由や、退院に向けて対象者が自らリハビリを行えるように関われていないというリハ専門職の技術的な課題に加えて、そのような方針が示されていないという組織的な課題等が考えられます。

 『入院中にリハ専門職が直接介入するリハビリの量はどのように推移すべきか。』さまざまな考え方があるかと思いますが、私は「より多くのリハビリが必要な方に必要最大量のリハビリを提供するため」にも、「対象者が退院後の主体的な生活に継ぎ目なく移行するため」にも、パターン3が組織風土となるように働きかけていきたいと考えています。

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