なぜ草刈りを手作業でするのか？

農ある生活をするときに向き合うのが草とのやりとり。
田舎でいると、人によって草をどうするかは様々です。
草刈りをするのも、機械でするか、草刈りホーや草刈り鎌で刈るか。

１．いろいろな人と草とのお付き合い

小さい畑なら手で刈る人が多いですが、
大きい畑になってくると機械でする人もいるし、
田んぼや畑のあぜ道となるとほとんど機械でしてるかな。

そして、ご高齢になってくると、除草剤で枯らす人も。
本当はよくないんやろうけどね、
と言いながら、使っている人もいるのが切ない。

そういう手もあるのか、というのが
ホームセンターであるのか、
草が生えてこないようにするカバーとか、
生えるは生えるんだけど、
覆いをして一定の背以上にならないようにするカバーとか。

刈った後の処理も様々です。
焼く人、そのまま畑に置く人、乾かしてから畑に混ぜ込む人、
そのまま畑に混ぜ込む人、たい肥にする人。
バリエーション豊か。

２．草刈りをする理由

草刈りをする理由も人によっていろいろで、
それぞれの地域やどういう目的で土地を利用しているかによっても違う。

一般に、
・草刈りをしないと虫がいっぱい出てくる
・それで被害が出た場合、法律問題が出る可能性がある
・景観が悪い
・草を刈らないと農作物の収量が減る
・草が土づくりに役立つ
・草が家畜のえさになる
・人は心理的に草刈りをしている自然の方が心地よく感じる

などの理由で草を刈っているように思える。
他にもあるかも。

ただこの中には本質的な理由ではなく、思い込みだろうというものもある。
１つ挙げるなら「草刈りをしないと虫がいっぱい出てくる」というもの。
これまで数多くの耕作放棄地を手で刈って耕地化してきたが、
稲や野菜を食害するバッタがうじゃうじゃ出てくることは皆無だった。
むしろアシナガバチやむかで、あり、カマキリといった捕食者も多く、
放置して即周りの農作物に被害が出たということは、
科学的にも、この耕作放棄地だけの問題と言えることはないと思った。
もちろん条件が重なることもあるだろうし、全否定はできないが、
全肯定はできないと思う。

私の場合は、田畑とあぜ・里山で目的が変わって、
田畑の場合、
・野菜の生育初期に、草との競争を緩和する。
・土づくりをする。
・食べられる野草を守る。
あぜ・里山の場合
・林になりはじめるのを抑制する。
・局所的な生態系多様性を確保する。
・食べられる野草を守る。
・外来の草を選択的に少なくする。
ということねらいにしている。

３．なぜ手作業で草刈りをするのか？

では、できるだけ機械を使わずに手作業で鎌で草刈りをするのはなぜか？

いくつかの理由があるが、
１つは、機械がなければ死ななくて済んだ生き物を殺したくないから。

手でしていれば、いろいろな生き物と触れ合うことになる。
印象深い生き物とのやりとりがあって、
2月３月に草を刈っていると、草の中で昼寝をしている蛇に出会う。
ジムグリのような毒をもたない蛇もいるけど、
マムシのような毒のある蛇もいる。
鎌の上にのってしまって、「ごめーん」というと
全く素知らぬ顔をして寝ているように見える。
そっと置いておくとまだ寝ているけれど、
しばらくして辺りに草がなくなったことに気が付き
わざと草を刈り残しておいた場所に行ってしまう。
一度に刈るのは体力的にしんどいこともあるし、
生き物の住処を確保するのに、
刈る列と刈らない列を作っているのでそこへ避難するようだ。

また、こんなこともある。
草地にはカヤネズミのような小さなネズミが住んでいるんだけど、
この子たちが歩いていることがある。
機会を使っていて「あっ」と思ってすんでのところで止めたんだけど、
これはかなり衝撃的な出来事だった。

こういうことがあって依頼、機械はどうしても時間がないときで、
かつ面積が広すぎるときに限定するようになった。

こういうことから機械を使わずに手で刈っていると、
「あらあかんで、あんなん機械使わんとできないで」とか、
「手でするんかいな、すごいな」とか、
田舎のおっちゃんたちの中には悪気はないけど、
機械使ったらええのになという感じの人もいる。

でも、機械を使わないでいると、動物のためにもなるけど、
植物とのやりとりが楽しいのです。
野菜がもう少し大きくなるまで待ってねとか
大きくなったら生えてきて種残しなとか声をかけられるし、
食べられる野草が見つかるし、
前までなかった珍しい野草が生えているのが見つかるし、
手で刈ると広がる世界というのがあるのです。
これらも大きな理由です。

やったことのない人には草刈りは苦労ばかりと思われるかもしれないけど、
実際にやってみると結構な割合で
「草刈りが好き」という人が出てくる。
好きな理由は人それぞれだろうけど、
嘘～という人はちょっと草刈りを手でしてみてほしい。
しんどいだけやんと確認する人もいれば、
面白い発見がある人もいるだろう。
あなたはどんな発見があるかな？？

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