見出し画像

虫を虫さんと呼ぶ理由

みなさんは虫さんたちとどんなかかわりがあるだろう?
・ゴキブリは嫌いだなぁ。
・カブトムシやクワガタ虫は小さいころ飼っていたよ。
・カマキリの卵はよく庭先にあったね。
いろいろなかかわりがあると思う。
とりわけ農業をする人にとってはは嫌われる存在かもしれない。

しかし、私はあえて言う。
虫さん
と。

虫さんは紛れもなく、私たちのパートナーです。
今日はそのことを書いてみます。


1.ハチは悪者か?

蜂は人を刺すことからよく悪者扱いされます。
でも、少し調べてみると、そうではないことがわかります。
例えば、アシナガバチは毛虫や芋虫など、
野菜の葉っぱを食べる昆虫を食べてくれます。
害虫を食べてくれる虫を益虫といいますが、
アシナガバチは人を刺しもしますが、
畑では人の野菜づくりの仲間です。
草刈りが不十分なところでは
よくアシナガバチが巣をかけますが、
私は印をしてこの巣を残しています。
そして、毎回巣に近づいて、
今日は元気?
子どもは育ってるかな?
たくさんえさはあるかな?
と声をかけます。
最初は警戒する素振りを見せていた蜂たちも
何回も訪れるうちに、
少々巣の付近の草を刈られても驚かず、
スムーズに作業させてくれるようになります。

2.オオスズメバチは殺さないといけないのか


オオスズメバチはミツバチの養蜂家にとって脅威の存在です。
ミツバチの巣にやってきては一網打尽にして、
巣を壊滅状態に追いやってしまいます。
私も最初はオオスズメバチをミツバチの敵とみなし、
初春の間にアルコールの入ったペットボトルで
オオスズメバチの女王バチを捕獲して殺すことをしたことがあります。
でも、オオスズメバチがいるおかげで、
西洋ミツバチが日本の野山で野生化することを防いでいて、
間接的に日本ミツバチが生きていく環境を守っていると言える
という見方もあるということを知りました。
また、オオスズメバチも日本ミツバチと同じように
人の指に乗ってはにおいを覚え、
その人を仲間とみなし、攻撃しないようになる
という人もいました。
日本ミツバチを指に乗せたことは何度かありますが、
オオスズメバチも乗せることができるなんて驚きです。

それからというものオオスズメバチに挨拶をするようになりました。
里山に入ると、オオスズメバチは向こうからやってきて
挨拶をしていきます。
とんできては目の前まできて、
きちんと目を合わせます。
そして、1ー2秒ほど見つめ合うととんでいきます。
3歳くらいの知能を持っているというから、
頻繁に山に入ってくる人は覚えているのかもしれません。

私が飼うのは日本ミツバチで、
日本ミツバチはオオスズメバチを倒す方法を知っているし、
巣箱の入り口に工夫をすることで、防げるようなので、
オオスズメバチはともに生きていくことにしました。

3.バッタやイナゴこそ、悪ものなのか?

バッタやイナゴは植物を食べるからこれは悪者でしょう。
短期的にはそうとも言えますが、
長い目で見ると、バッタやイナゴも植物を食べるとふんをします。
そのふんはやがて、土になります。
そして、冬が訪れ、彼らが死をむかえると、
体は土になっていきます。
こうして、バッタやイナゴも土づくりに一役かってくれている
という意味ではどうも悪者と決めつけることはできません。

4.「虫さんはなぜ野菜につくのか」から見えてくるもの

野菜作りをしていて、
すごく虫さんが食べる野菜と、そうでもない野菜があります。
この違いはどこにあるのでしょうか。
自然農ではよく
「肥料をやりすぎた野菜に虫が食べやすい」
と言われます。
実際に実験してみると、
全くやらなかった範囲と、
やった範囲では肥料をやった方が食われやすい。
でも、だからといって、
肥料をやっていないからといって食われないわけではありません。
他にも
・種に肥料分が含まれているからだ。
・数年前の肥料が残っているからだ。
と言われることもありますが、
同じ種で、同じ範囲で栽培しても差が出るということは
それらの理由は本質的ではないと思います。
書籍では
①肥料が多い×虫がつく
②肥料が少ない(ない)×虫がつかない
として、初心者にもわかりやすいように書かれていますが、
本当はもう少し複雑で、
③肥料が多い×虫がつかない
④肥料が少ない(ない)×虫がつく
も考える必要があります。

③も④も状態としてありえます。

では、③と④も踏まえて実際どんな野菜が食われないのか。
これについて考えるには、
虫に食われるか食われないかは、
人が影響している要因と、
植物の集まりが決めている要因がある

人が影響している要因は肥料をやるかやらないかです。
で、この肥料をやるかやらないかの
自然農なりの技術の一つに
その土地の状態を見極めて、
土に足りないものを少し「補う」というものがあります。
・自分の畑が開墾して何年目か
・前年、前前年に何を植えていたのか
・日当たりは良好か
・草の生え具合や生える種類は
・化学的には土壌PHはどれくらいか
・その年の気候はどんな感じか
などから総合的に判断して、
補いをするか、しないか
するならどの程度するか
を判断します。
何度も開墾していると、何となくわかってきたのが
あぁ、この状態ならこれくらい補えば大丈夫だろうとか
この野菜ならこれくらいかとか
の見極めができるようになってきました。
で、ちょうどよい補いができると開墾すぐでもいい感じ。
逆に補わないと、自然農でも収量が全くあがらないことがある。
栄養がなさすぎて、植物が弱弱しい状態。
そして、弱い野菜を土にかえすのが虫さんの役目。
これが前記の④
ここまでが人が影響している要因。

で、それでも、食べられるものと食べられないものがあります。
一番驚くのが、嘘~って思うかもしれないけど、
発芽から、収穫まで、
本当に全く虫さんのつかない野菜ができることがある。
農薬もやらず、全く虫さんのつかない大根、白菜をはじめてみたときには
何でこんなうまくできたんやろうか?
自然農ってやっぱりすごいんかな?
と思いましたが、
どうやらこれは植物が集まりの中のどの個体を残すかを
それぞれで連絡し合って決めているというようなことが
最近言われていることのようです。
これで前記の③が成り立つことになる。
農薬をやっていないことを知っていて、
あんなに牛糞や鶏糞入れている畑なのに、
なんでか虫がついていないってこと、ありますね。
あぁ、野菜たちが相談して決めてるんだったら仕方ないよね。

5.<結論>虫さんの分の野菜も作ることにした

ここまで考えたときに、
どれだけ人が努力して研究実践を重ねても、
野菜たちが決めていることもあるし、
虫さんのお腹の好き具合や虫界の盛衰もあるだろうし、
単純なことなんじゃなくて、
とても複雑系なことなんだから、
小手先の技術で、完全に虫さんに食われないようにすることは無理。
農家さんが農薬やるのはそりゃあやるよねってなる。
さらに、農薬やってもだめなこともあるでしょう。

ということで、
私なりのスーパーナチュラルな解決策が、
自分のものだけでなく、虫も食べていいくらいたくさん作る。
極端な話、白菜を10苗植えて9苗食べられたら1つしか食べれないけど、
100苗植えたら90苗食べられても10こ食べられるみたいな。

虫さんはただ野菜たちを食べているだけではなくて、
野菜たちの間を寝床にして、暖をとったり、暑さから身を守ったり、
私たち以上に野菜たちとともに生きている。
そんな子たちをどうこうしようと思うんじゃなくて、
害虫や益虫やという言い方をするんじゃなくて、
私も虫さんたちの間に入って
どれだけ長く生きてもたった50~100年ほど、
この田畑里山でくらすパートナーになろうと思う。

一度手にとまるとなかなか離れない。

Facebookグループでリアルタイム活動報告してます。
里山暮らし大好き【ミライの村づくり】 | Facebook

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?