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体育からスポーツへ、夢があるから強くなる

Jリーグができて30年になる。

Jリーグがまだ構想の段階のときに、
ジャーナリストの玉木正之さんたちがいっていたのは、
「サッカーを<体育>から<スポーツ>に変える」
ということだった。

どういうこと? と思った。玉木さんが教えてくれたのは、こうだった。

体育は知育徳育とならぶ教育の三本柱で、
体育は身体を鍛えて良い軍人をつくるため、
知育は読み書きができるようになっていい工場労働者にしたてるため、
つまり富国強兵政策にそってのものだった。

体育があって、その延長線上に学校の部活があって、
小学校、中学校、高校と部活で競って、
最終的に勝ち上がったエリートが実業団チームに入る。
仕事をしながらサッカーをしたり野球をしたりする。
企業はチームを自社の宣伝として大事にする。

それって、夢なくない?
そうじゃなくて、スポーツにして、
楽しみながら強くなって、
学校単位じゃなくて地域で盛り上がって、
学校の卒業生だけじゃなくて地域の人たちが応援してくれるようなチームになって、
それがプロフェッショナルなチームになって、
ワールドカップ=世界で優勝しようよ。
地域の誰もが楽しめる、夢のあるサッカーにしようよ。

だから、チームの名前には企業名じゃなくて地域名をいれよう。
というのがJリーグの構想だった。

これに最後まで抵抗したのが読売新聞で、
プロ野球みたいに「読売」をチーム名につけさせなければ、
Jリーグには入らない、ということになって、
当時のJリーグチェアマンの川淵三郎さんは、
「入らなくてけっこうです」
と突っぱねた。

ところが冷静に考えると、
三浦カズがいてラモスがいてむちゃくちゃ強い読売クラブが入らないJリーグなんておもしろくなるはずがないから、
周りがなんとか川淵三郎さんと渡辺恒雄さん(読売新聞)を説得して、
読売クラブは「ヴェルディ川崎」となって、
わずか10チームでJリーグはスタートした。

30年経ってどうなったかというと、
60を超えるチームがJリーグに加盟して、
日本代表チームはワールドカップで世界中を驚かせるような強いチームになった。

夢、って大切だなとつくづく思う。

そういえば「夢があるから強くなる」っていってた、Jリーグ。
(JリーグじゃなくてJFA=日本サッカー協会だった)
JFA 2005年宣言 https://www.jfa.jp/about_jfa/dream/