見出し画像

ウィークタイズな人のつながりで、産業は強くなる

地元のカットクラブのオーナーの話。

ここ数年、高校を卒業して釜石で就職する人が増えている、と。
オーナーの店には若い人たちが髪の毛をカットしに来るから、
ご自身の実感として、そう感じている。

いいことなんじゃないかな。
大学進学のために釜石を離れる高校生が多く、
それがきっかけで都会に就職し、結婚して釜石に帰ってこない傾向がずっと続いていた。

「だけどさ、みんな『自分たちはなにもできない』、
って思ってるんだよね」

自信がないというか、自己肯定感が低いというか。

「だから、そうじゃないんだよ、って、
ワクワクして生きる、希望を持てるような街にして欲しいんだ」

釜石で人材育成のセミナー、ワークショップをやると、
・「目標を持つこと」「学ぶこと」の大切さがわかった
・同世代との交流が楽しい

という感想が返ってくる。

釜石には小さな会社が多く、
同期入社が1人かゼロ、というのケースも珍しくない。
だから、小学校から高校まではずっと同じ年齢層の人たちのコミュニティにいたのが、
いきなり年上ばかりの小さなコミュニティに放り込まれる。

社会的な経験が少なく、人間的な成長も初期段階。
やる気はあって希望に満ちて入社したのはいいけど、
いきなり「昭和」な管理職との価値観や行動様式があわず、
せっかく入った会社をやめてしまう。

会社で同期入社はいないけれど、
釜石市全体でみれば、同期入社はたくさんいる。
であれば、地域内での動機コミュニティをつくってはどうか、
ということで、釜石で人材育成系の仕事している仲間といっしょに動いている。

新入社員だけではなく、2〜4年目、中堅層・管理職のコミュニティも、
セミナーをしながらつくっていく。
そうやって、働く人たちのONE KAMAISHIを。
まず横にゆるやかにつながっていく。
weak ties(弱い絆)、、だ。

スタンフォード大学のマーク・グラノヴェッターが1973年に提唱した理論。
毎日顔を合わせるぐらい強いつながりの人間関係よりも、
ときどき会うような人間関係の方が有益な情報をもたらしてくれる。
ウィークタイズのメリットは、
・異なる視点、価値観から問題解決ができる
・気軽に相談できる
・利害関係が少なくフラットに付き合える

こうしたウィークタイズ、ゆるやかなつながりをたくさんつくっていって、
釜石の産業を人のつながりをもとに強くしていく。
人口3万人、生産年齢人口1万6000人の釜石なら、
逆にそれが実現可能なのではないか。

ONE KAMAISHIで、
若い人たちがいきいきと働ける文化を、釜石につくっていく。