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緩やかなつながりの強み

焚き火とバーベキューを同時にやってみた。

焚き火は薪を使って炎がごーっとでて、
バーベキューは炭を燃やして、遠赤外線でものを加熱する。

釜石の仲間たちが東京で集まって、
焚き火とバーベキューを楽しんだ。

220506緩やかなつながりの強み

みんなもともと東京育ち。
ゴールデンウィークで帰省してたり、
会社からの派遣が終わって帰任してたり、
地域おこし協力隊の任務期間が過ぎて釜石を離れたり。
移住者のわたしは、田植えが千葉と茨城の2ヶ所であるから、
いってみれば仕事で東京に滞在している。

炭火でステーキ肉を焼く担当になった。
BBQの初級インストラクターの資格は持っているものの、
実際に肉を焼いてサーブするのは初めて。
炭を起こし、BBQコンロの中に「強火」「中火」「火なし」の3ブロックをつくって、最初は強火でガッと焼く。
その前に、肉に「えええええええ!」ってぐらい塩コショウをふって、
味付けをする。

そして、焼く。
レアに仕上げて、まな板の上で、1分ほど「肉を休ませてあげる」。
肉の塊の真ん中から斜めに包丁を入れて、
肉の断面をゲストのみなさんに見せる。
「おおおおおお!」
と驚愕の声。
レアで食べたい人はそのまま切り分けて食べてもらって、
つぎはミディアムに仕上げ、同じ工程を経て、
最後はウェルダンで。

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わたしは肉のホスト役に専念して、
みんなの会話を聞いて楽しんでいた。

わたしだけが50代で、ほかは30半ばから20代後半の8人。
わたしを除けばほぼ同年代が、
復興途中の釜石という、同じ地域と同じ時期で仕事をし、生活をしていた。

話を聞いてて、社会学者のマーク・グラノヴェッターが提唱した、
「ウィークタイズ the strength of weak ties」
という概念を思い出していた。
緩やかなつながりの強み。

それぞれお互いが違った社会で育ち、違った価値観を持ち、違った経験をしてきた者同士が、緩くつながっている。
同じ社会で育ち、価値観も経験も共通している「強い結びつき」よりも、
多くの気づきや成果、イノベーションが得られる。
というのが「ウィークタイズ」。

だけどみんな、共通の体験をしている。
それは、地元釜石の期待、復興せねばという希望、
そういうプレッシャーがかかった下での仕事だった。
うれしいこともあったが、辛いことのほうが多かったし、
大小様々な挫折もしただろう。

そういう人たちが、しばし釜石を離れ、
食べるもの飲むものを持ち寄り、
パチパチと燃える焚き火を囲んで語り合う。

それぞれがホスピタリティを発揮してて、
とても豊かな時間を過ごせた。