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儀式によって示される権威

儀式によってその権威とか権力とか、
荘厳さや歴史の厚みなどを見せつけられるなあ、
と実感したのがエリザベス女王の葬儀だった。

権力は芸術を利用する。

『芸術×力 ボストン美術館展』では、
そうした権力と芸術の関係が、目で見て楽しめる。

入り口のところでナポレオン1世が、わたしたちを出迎えてくれる。

戴冠式のときの肖像画で、
どーんと大画面で圧倒される。
真紅のドレス(っていうのか)がふっかふか。
アタマには古代ローマの皇帝にならって金の月桂冠、
ドレスには勤勉さや慈悲深さをあらわすみつばち、
手にはローマ帝国の象徴だった鷲をあしらった杖。
王座の背もたれに「N」のイニシャルがあるのは、ちょっと笑える。

フランス皇帝になったナポレオン・ボナパルトは、
当時35歳で、コルシカ島という地方の出身。
武勲によって権力の座についた者の「正統性」を示すために、
贅を尽くしたような肖像画を国中に飾ったという。

ナポレオンのとなりには、ファン・ダイクが描いた英国のメアリー女王。
この配置はうまいな〜、と思った。


『芸術×力 ボストン美術館展』 東京都美術館