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東京オリンピックもアベノマスクも同じことを繰り返していた

「なかでもマスクのごときはどこの店でも品切れのありさま。したがってまた、例の一時狙いの奸商がでて、すでに粗悪品を売ったり、値段を暴騰させたりしている」

これは、100年前の朝日新聞の記事(1920年1月19日付)。
スペイン風邪が流行っていた。
スペイン風邪というインフルエンザは、1918年ごろからのパンデミックで、第1次世界大戦を上回る犠牲者を出し、日本でも38万人以上が亡くなった。

これに対して日本政府がとった対策は、
人混みを避けること、手洗いうがい、マスクの着用だった。

それでマスク売り切れのお店が続出し、
政府はマスクを手作りするように勧め、
民間では「マスク警察」が跋扈した。
その是非を問うて、メディア(新聞)が賑わった。

『超空気支配社会』を読んでると、
今も昔も変わらない。
変わらなすぎて、ため息がでる。

歴史に学んでないなあ……。

たとえば、東京オリンピック。

NHKの調べでは、東京オリンピック開会直前の6月、
「いま一番の関心事」に「オリンピック」を上げた人の割合は、2.2%。

新聞は、オリンピックに対する問題点を4つ、指摘している。
①国民の無関心
②組織委員会が無責任で、機能していない
③関係者が補助金や公共授業を受注している
④主役である選手を差し置いて独善的なプランを立てている

東京都民の無関心ぶりは感心するほどで、
ホントに直前の10月の調べでも、56.8%が、
「オリンピックはけっこうだが、わたしにはなんの関係もない」
と答えている。

みなさんもう察しているかと思うが、
これは1964年の東京オリンピックのときの様子。

わたしも64年の東京オリンピックは「国民一丸となって盛り上がった」三丁目の夕日的に思っていたら、そうではなかった。
なぜそう思い込んでいたのかというと、
「高度経済成長を象徴する一大イベントだった」
という印象操作がなされたいたから、だった。
政府もメディアも。

ということは、「2021年の東京オリンピック2020も大成功だった」、
というふうに、10年後には定着しているんだろうな。


『超空気支配社会』 辻田真佐憲 文春新書 2021年