見出し画像

岡本太郎を見てきた

岡本太郎は1951年、
東京国立博物館に展示してあった縄文式土器を見てびっくりする。

前衛的な土器に日本人の生命感を見て取って、
「わびさび」とは対極にある日本の伝統を大事にした。

「対極主義」は岡本太郎がそれ以前に生み出したもので、
世の中にある対立、矛盾、たとえば、
抽象と具象、静と動、美と醜、
を調和させるのではなくてむしろ強調する。
その不協和音の中から、新しい創造を生み出す。

岡本太郎の絵や彫刻に、
うねうねと横たわる黒い線が、縄文式土器からのもので、
赤と緑と黄色、原色のオドロオドロしさが不協和音を好む「対極主義」。

手の顔

岡本太郎が今っぽいのは、
作品は売買せずに、パブリックアートとして、
公共空間に置いたこと。

所有ではなく共有。

所有されることで非公開になることをいやがり、
芸術とはあくまでも大衆に開かれたものである、
として、全国で70ヶ所以上、岡本太郎作品が公開されている。

展示の最後、
岡本太郎84歳最後の作品となった「雷人」と、
立体の「午後の日」の組み合わせが、
それまでの情熱とエネルギーの激しい岡本太郎から一転して、
なんだかほっこりする岡本太郎に変わる。

午後の日
雷人

なんて、わかったようなことを考えていたら、
音声ガイドで岡本太郎にしかられた。

絵はクイズのように、隠された答えを当てるために観るものではありません。
「いい」と思った分だけ、あなたはわかったのです。
わからない分など、心配することはありません。
凝り固まりがちな見方を何度も切り捨て、
めげずに相手を乗り越えていく。
積極的な心構えで見なければ、本当の鑑賞はできません。
創造と鑑賞は永遠のおっかけっこ。
だから、わかったようなポーズを取る必要もないし、
鑑賞能力がないと悲観したり、
自分とは無縁だと敬遠してはいけません。

「展覧会 岡本太郎」音声ガイドより