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WEEK2-7 誰でもわかる税金 ユアユニで生涯、学びの道を!MUP3学期

こんにちは「師子吼する」です。前回の講座「WEEK2-6 誰でも分わかる税金 学びの道を!MUP3学期」の続きです。

■会社員の所得税の計算➁

扶養控除・生命保険料控除・社会保険料控除

もう一度年収700万円のサラリーマンの状況と所得税の計算の概要ををまとめておく。

・66歳の父親と同居し扶養。
・年収とは別に出張の諸手当の支給が15万円
・資格取得費用100万円
・2010年契約の医療保険料が毎月4800円
・2017年契約のがん保険料が毎月1900円
・2000万円で35年の住宅ローン、固定金利1.624%
住宅は新築一般住宅でローンを支払って1年。
・社会保険料は厚生年金保険料:約65万3000円、健康保険料:約35万円、
雇用保険料:約3万5000円で計約103万800円
・復興特別所得税は考えない。

※サラリーマンの所得税の計算
給与収入=総支給額-非課税の手当
特定支出控除=(特定支出-給与所得控除÷2)
給与所得 =給与収入-給与所得控除額-特定支出控除
課税所得=給与所得-所得控除

所得税額=課税所得×税率-所得税率の控除-税額控除

この状況でサラリーマンの所得税を概算で計算すると、
総支給額:715万円
非課税の手当:15万円(出張手当、交通費、宿泊費)
給与収入:715万円-15万円=700万円 
給与所得控除:700万×10%+110万円=180万円
特定支出控除:100万円-(180万÷2)=10万円
給与所得:700万円-180万円-10万円=510万円
所得控除:基礎控除48万円+扶養控除38万円
+生命保険料控除 約6万+社会保険料控除103万8000円=195万8000円
税額控除:住宅ローンでの1年目の住宅借入金等特別控除13万7000円
課税所得:510万円-195万8000円=314万2000円
所得税:(314万2000円×10%-9万7500円)-13万7000円
=7万9700円

給与所得控除は会社が計算するので手続きは必要ない。
所得税の特提出控除と税額控除の住宅借入金等特別控除は確定申告で申請する。

所得控除の基礎控除は合計所得が2400万円以下の会社員・個人事業主なら控除額は48万円になる。(後で説明するが合計所得は会社員なら給与所得と考えてよい。)

所得控除の扶養控除だがそもそも「扶養」とは自身の稼ぎで生計を立てられない家族や親族に、経済的な援助を行うことをいう。扶養控除は所得税上の控除対象となる扶養家族がいる場合、扶養家族の人数に応じて一定の金額の所得控除が受けられる税制上の仕組みである。その控除金額は扶養している家族の年齢や同居の有無で以下のようになる。

扶養親族の年齢    扶養親族区分        控除額
16歳未満       年少扶養親族    控除無
(児童手当有)

16歳以上19歳未満  控除対象扶養親族  38万円
23歳以上70歳未満

19歳以上23歳未満     特定扶養親族       63万円

70歳以上                       老人扶養親族      58万円
           (同居老親等)
70歳以上                       老人扶養親族      48万円
                                     (同居老親等以外)
 

この場合は66歳の父親は「控除対象扶養親族」となり、控除額は38万円になる。

所得控除の生命保険料控除とはとは、毎年1月1日~12月31日までに支払った所定の生命保険や医療保険などの保険料のうちの一定の金額が、保険契約者(保険料を負担している人)のその年の給与所得金額から差引かれる税制上の仕組みである。2011年以前の契約を旧制度、それより後の契約を新制度というふうに分かれており、
さらに新制度は
死亡保険、学資保険、養老保険などの保険料である
「一般生命保険料控除」
個人年金保険料税制適格特約が付加された個人年金保険などの保険料である
「個人年金保険料控除」
個人年金でも、上記の特約がなかったり変額個人年金保険というものであれれば「一般生命保険料」に入る。
医療保険、がん保険、民間介護保険などの保険料である
「介護医療保険料控除」
の3つに分かれる。
旧制度が
個人年金保険料税制適格特約が付加された個人年金保険の保険料である
「個人年金保険料控除」とそれ以外の保険料である「一般生命保険料控除」
の2つに分かれていた。
この場合は毎月4800円の医療保険は旧制度の一般生命保険料控除となり、
(生命保険でなく医療保険ではあるが、旧制度では一般生命保険控除に入る。)
毎月1900円のがん保険は新制度の介護医療保険控除となる。
所得控除の生命保険料控除の計算はややこしいため、税金・保険料シミュレーションで計算し、約6万円となった。

社会保険料控除は1年間で払う厚生年金・国民健康保険・雇用保険の保険料の合計104万円がそのまま控除額になる。会社員で社会保険料控除が認められる保険料は以下が主なものである。
・国民健康保険および協会けんぽなどの健康保険料
・国民年金や厚生年金の保険料
・後期高齢者医療保険料
(後期高齢者医療制度の保険料が年金から天引きされる「特別徴収」というものなら対象外)
・労働保険料。労働保険には労働者が業務中や移動中に負ったケガや病気を保障する「労災保険」と働けなくなったときなどに給付金を受給できる「雇用保険」の2つがある
・介護保険料。介護保険は健康保険に加入している65歳以上の人(第1号被保険者)と、40歳から64歳までの人(第2号被保険者)が支払う必要がある。
社会保険料控除は労働者にとっては所得税や住民税だけでも大きな負担になるため、支払った社会保険料の全額を控除して税負担を減らせるようにしている。また現状、厚生年金保険料、健康保険料は会社と従業員個人が50%ずつ負担する労使折半であり、雇用保険料、介護保険料の一部を会社が負担する労災保険料に関しては会社が全額を負担している。
基本的に社会保険料控除は自分の厚生年金、健康保険、介護保険など健康保険の社会保険料ついては会社が把握しているので、生命保険料控除のように控除証明書を添付したり、年末調整で記入する必要がない。しかし配偶者や親族などの社会保険料を自分が負担している場合は、それも控除できるが、年末調整で手続をしないといけない。
所得控除の合計は195万8000円、所得控除を引いた課税所得は314万2000円になる。
所得税の所得控除は年末調整や場合によっては確定申告で申請する。

■会社員の所得税の計算➂

住宅借入金等特別控除と所得税の税率

住宅ローンの控除である、所得税の税額控除の住宅借入金等特別控除は、原則10年間である。こちらも条件や計算がややこしいので、上記の条件をあてはめて、価格.comの住宅ローン控除(減税)シミュレーションで概算を計算し、1年目の控除は13万7000円となった。住宅借入金等特別控除は1年目は確定申告で申請が必要だが、2年目からは年末調整で申告できる。

最後に所得税の最終的な計算である。計算から9万7500円が引かれているが、これは、給与所得控除、特定支出控除、所得控除、税額控除とは別に所得税の税率自体にも控除が設けられているからである。所得税の税率で控除額以下のようになる。

課税所得金額                     税率    控除額 

1000円 から
194万9000円まで          :5%   0円   

195万円 から
329万9000円まで             :10% 9万7500円

330万円 から
694万9000円まで             :20%    42万7500円

695万円 から
899万9000円まで             :23%    63万6000円

900万円 から
1799万9,000円まで           :33%  153万6000円

1800万円 から
3999万9000円まで           :40%  279万6000円

4000万円 以上                   :45%  479万6000円

引用元:国税庁 No.2260 所得税の税率

こうしてこのサラリーマンが1年間に支払う所得税は概算で7万8500円となる。
所得税の計算は1000円未満や100円未満の額は切り捨てたりするが、この講座に出てくる例では概算を簡単に出すため切捨てずに計算している。

■会社員の住民税の計算➀

住民税の計算の概要

このサラリーマンの住民税についても同じ状況で概算を計算してみる。

住民税の計算の概要は

給与収入=総支給額-非課税の手当
特定支出控除=(特定支出-給与所得控除÷2)
給与所得 =給与収入-給与所得控除-特定支出控除
課税所得=給与所得-所得控除
所得割額=課税所得×10%(都道府県税4%・区市町村税6%)

住民税額=所得割額-税額控除+均等割額

となる。

総支給額:715万円
非課税の手当:15万円(出張手当、交通費、宿泊費)
給与収入:715万円-15万円=700万円
特定支出控除:100万円-(180万÷2)=10万円 
給与所得控除:700万×10%+110万円=180万円
給与所得:700万円-180万円-10万円=510万円
所得控除:基礎控除43万円+扶養控除33万円+
生命保険料控除 約4万9000円+社会保険料控除103万8000円
=184万7000円
課税所得:510万-184万9000円=325万1000円
所得割:325万1000円×10%=32万5100円
(都道府県税4%・区市町村税6%)
税額控除:調整控除 約2500円
均等割:都道府県税1500円・区市町村税3500円の計500円
(復興増税は考えない)
住民税:32万5100円-約2500円+5000円=約32万7600円

この続きは「WEEK2-8 誰でもわかる税金 ユアユニで生涯、学びの道を!MUP3学期」で解説します。


お読みいただき、ありがとうございました。

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