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WEEK2-6 誰でもわかる税金 ユアユニで生涯、学びの道を!MUP3学期

こんにちは「師子吼する」です。前回の講座「WEEK2-5 誰でも分わかる税金 学びの道を!MUP3学期」の続きです。

■「雑所得」か「事業所得」の判断

先程の述べたのはあくまでも事例であり、特に「業務に係る雑所得」では実際に副収入が雑所得か事業所得になるかについては、所得税法上では明確な基準がなく、税務署の判断次第である。このため会社員の副業は事業所得として青色申告が認められないことはないが、雑所得とされ、白色申告となり青色申告できない場合が多い。
前にも述べたが、山林所得は青色申告でも10万円の控除しか受けられないこと、不動産所得は青色申告で55万円か65万円の控除を受けようとするなら一般に、独立した家屋の貸家ならおおむね5棟以上、アパート等なら独立した室数がおおむね10室以上、駐車場なら50台以上駐車可能でないと「事業的規模」として取り扱われず、10万円の控除しか受けられないことは会社員でも個人事業主でも条件は同じである。

■ふるさと納税

話がそれるが最近よく聞く、税金の控除の1つである「ふるさと納税」であるが、少子高齢化に対応し、人口の減少に歯止めをかけるとともに、大都市人口の過度な集中と地方の人口減少地域の税収減少を防ぎ、大都市と地方の格差是正でれぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたり活力ある日本社会を維持することを目指す「地方創生」を目的として、法律で定められた範囲で地方自治体への寄付を行うこと住民税を控除する仕組みであり、2008年5月から開始された。「納税」とは言うが、実際には「寄付」の扱いである。ふるさと納税は会社員も個人事業主も「ワンストップ特例制度」というものを申請すれば、確定申告は行わなくてもよい。ただし、1月1日〜12月31日の間に寄付をした自治体数が6ヶ所以上あったり、寄付をした自治体のうち、1ヶ所でもワンストップ特例制度の申請書を提出できなかった場合は、確定申告が必要になる。確定申告でふるさと納税の申告をする控除は、所得控除の寄付金控除となる。
ふるさと納税は実質負担2000円でそれ以上の価値の返礼品が貰えることに人気があり、総務省の発表によれば2021年度(2021年4月1日から2022年3月31日)はふるさと納税で寄付された金額は約8302億円、その控除を受けた人は740万8000人にもなり、大きな市場も形成された。ふるさと納税にはネットで寄付を受け付けている「ふるさと納税サイト」もたくさんある。有名どころは「ふるさとチョイス」「楽天ふるさと納税」「さとふる」「ふるなび」などである。また自治体によっては返礼品のカタログなどを請求できるところもあり、ネットがなくても申込める。
実質負担2000円でそれ以上の価値の返礼品が貰えるのはどういうことかというと、仮に扶養家族がいない年収400万円の独身の人なら目安ではあるが、控除額が4万1000円となる。この4万1000円控除額を超えさえしなければ、寄付をしても2000円の負担で済むようになっている。例えば4万円の寄付をして返礼品を申し込めば、後で2000円以上の価値の返礼品を貰えて住民税から2000円を引いた3万8000円が住民税から引かれる。あと仮に、5万円というように控除額を超えるような寄付をすると、
控除を超えた額9000円+2000円=1万1000円が自己負担となる。この自己負担額は確定申告で所得控除の寄附金控除で軽減できるが、そもそもふるさと納税は控除額に納まる寄付をするものなので、控除額を超えてしまうとメリットは減少してしまう。
あと自己負担がなぜ2000円で決まっているかというと、寄付金控除が申請できる寄付金の額が最低2000円だからである。2000円以下にしてしまうと、行政側の手続きが面倒になり、費用対効果も見合わないので寄付金控除では2000円という最低額を設けた。ふるさと納税は控除額がどんなに大きくても最低額の2000円までの負担で済むようにして、多くの人に制度の利用を促し、地方創生を実現を目指すものにしている。

最初ふるさと納税は返礼品については何も規定されていなかった。そのためふるさと納税に返礼品を設けて、返礼品もあえて豪華にして寄付をたくさん集めさえすれば、元も取れて得をすると考える自治体が多くなり、自治体間で返礼品の豪華さを競う競争も過熱した。高価な肉やカニなどは人気を呼び、大阪の泉佐野市はAmazonギフト券などを返礼品にして有名になり、2018年度では全国トップとなる498億円の寄付金を集めた。このように寄付金を多く集めるがために地元と何の関係もないものを返礼品にしたり、寄付額の多くを返礼品の調達費用にあてる自治体が続出し、ふるさと納税は本来の目的である「地方創生」と実態がかけ離れたものになった。この状況を改善するために、2019年6月、総務省は地方税法などの一部を改正し、返礼品の調達費用の割合を寄付額の3割以下にすること、返礼品を用意するなら地元と関係のあるものに限っている自治体でなければ、ふるさと納税の対象に指定しないと決めた。だが現在でも3割の決まりに違反する自治体も多い。
ふるさと納税をした人が住んでいる自治体は、税収が減るが、減った分の75%は地方交付税で国からの補填が入るようになっている。地方交付税は国からの仕送りのようなものだが、みずからの税収だけで財政運営できる自治体は地方交付税をもらえない「不交付団体」といわれる。2022年現在では不交付団体の数は都道府県では東京都のみ、市町村では72団体の計73団体となる。この不交付団体には、ふるさと納税の税収減には何の補填もないため、税収減による住民サービス低下が危惧されている。また地元と関係の豪華な特産品で返礼品を用意できる自治体と、そうでない自治体の格差もあり。自治体間の不公平間も問題視されている。

■会社員の所得税の計算➀

計算の概要

話を元に戻すが、給与所得控除、特定支出控除、所得控除、税額控除を踏まえた場合の会社員の所得税の計算の概要は

給与収入=総支給額-非課税の手当
特定支出控除=(特定支出-給与所得控除÷2)
給与所得 =給与収入-給与所得控除額-特定支出控除
課税所得=給与所得-所得控除

所得税額=課税所得×税率-所得税率の控除-税額控除

となる。

「総支給額」とは、会社が従業員に払うすべての金額であり、基本給に賞与、手当などを足したものである。総支給額から非課税の手当てを引いたものが給与収入になる。
給与所得控除も総支給額から非課税の手当を除いた給与収入で計算する。
「課税所得」は給与所得から所得控除を引いたものになる。

仮に独身の32歳のサラリーマンで、総支給額が715万円の場合の所得税を概算で計算してみる。独身で年収700万円ぐらいのサラリーマンなどなかなかいないかもしれないが、なるべく税の計算を増やすためにこのような事例にしておく。このサラリーマンは以下の状況にある。
・総支給額のうち15万円は会社から支給された10日間の出張手当、交通費、宿泊費である。
・66歳の父親を同居して扶養している。
・資格を取るために、その取得費用に100万円を使っている。
・2010年に契約した毎月4800円の医療保険と2017年に契約した1900円のがん保険に入っている。
・2000万円で35年の住宅ローンを組んでおり、固定金利で金利は主要都市銀行の目安である1.624%。住宅は新築一般住宅である。ローンを支払って1年になる。
・年収700万円のサラリーマンが1年間で払う社会保険料だが、32歳なので満40歳から支払いをする介護保険料は払っていない。健康保険料と健康保険組合によって料率や負担割合が、雇用保険料は勤務先の事業によって料率が異なる。税金・保険料シミュレーションというサイトで保険料を計算すると
厚生年金保険料:約65万3000円、健康保険料:約35万円程、雇用保険料:約3万5000円となり、年収700万円の人の保険料は一般的にも100万円から108万円といわれているため、シュミレーションの計算にそって合計約103万8000円とする。
・東日本大震災の復興費用に充てるため、2013年から所得税と合わせて引かれている復興特別所得税(税率は所得税の2.1%)は考えないことにする。

この続きは「WEEK2-7  誰でもわかる税金 ユアユニで生涯、学びの道を!MUP3学期」で解説します。

お読みいただき、ありがとうございました。

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