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むにみずべ 群馬編01 尾瀬縦断トレッキング

夏が来たので思い出しました。
群馬・福島・新潟にまたがる天空の湿原。
こちら、知っていますか?

これまでと少し趣向の違う大自然スポット。
山好きのムニフレンドと、水辺好きのムニのちょうど二人の琴線をくすぐる、尾瀬です。


バナナに似た水芭蕉、惚れた松尾芭蕉

カメラロール唯一のバナナの写真
タイの置時計と奇跡的にフィットした曲率

尾瀬を代表する水芭蕉。名の由来は糸芭蕉という植物に葉の形が似ていたから。糸芭蕉と言われてもピンと来ないかと思いますが、
このバショウ科と呼ばれる植物の最も有名なのは、バナナです。

はて葉っぱはバナナに似ている…のか。

ちなみに。芭蕉と名乗るものの中で、最もその名声を轟かせる松尾芭蕉は、お庭に植えたバナナの葉っぱが好きすぎて、芭蕉と名乗ったようです。
つまり今で言えば、芸名 松尾バナナ
一気に稀代の俳人から、昨日のテレビで見かけたお笑い芸人みたいに聞こえます。


シイタケのドンから逃れる尾瀬の湿原

尾瀬のキノコ
名前は聞いたけど忘れました

今回一緒に行ったムニフレンドは、大学できのこを研究していたキノコ君です。尾瀬を歩く時も面白いことを教えてくれました。

古代の植物が時間をかけてできた石炭ですが、実はもう新たにつくられる事はないと言われています。
その理由は、シイタケやエリンギの分類される白色腐朽菌。彼らは地球上で唯一木材を完全に分解できる存在です。
約3億年前の進化で白色腐朽菌が誕生したことで、石炭になる前に木材は完全に分解される時代が到来しました。

さて、そんな植物全分解時代の中で、尾瀬には分厚い泥炭が堆積した湿原が広がっています。
この泥炭こそ、もう生まれないはずの石炭に似た、分解されずに堆積した元植物です。白色腐朽菌の動きが活発ではない寒冷地や高地に分布します。

1年1mmといわれる僅かな泥炭の層が、長く人間の手から逃れてきた尾瀬では分厚く堆積。いつしか地下水位を越えて盛り上がり、高層湿原と呼ばれるようになりました。

こうして類稀なる植物の楽園、本州最大の高層湿原が生まれた訳です。


車で越えられない唯一の県境

尾瀬は、群馬県・福島県・新潟県・栃木県にまたがる国立公園であり、
特に群馬県と福島県は、ここ尾瀬のみで接することで、日本で唯一車道が繋がっていない県境です。
(富山県と長野県の間のアルペンルートも自家用車で行き来できませんが、電気バスで超えられます。)

尾瀬といえばこの果てしない木道

さてそんな車道の存在しない尾瀬での交通路は、木道です。今では尾瀬全域で約65kmにも及ぶ木道ネットワーク。10年程度で朽ちていく木道の維持には多大な労力が必要です。

ですが、だからこそ。
このかけがえのない体験ができます。


いざ尾瀬縦断

では歩いていきましょう。
今回は東京発着の王道ルート
群馬県側の鳩待峠から、
尾瀬ヶ原を抜け、見晴地区に宿泊
翌日は尾瀬沼の縁を周り、
福島県側の沼山峠を目指します。

鳩待峠へは、新幹線とバスを乗り継ぎ12時頃到着。トレッキングの香りがしてきました。

始まりますよ〜
最初は山道を下って行きます
すぐに水芭蕉が登場
1時間も歩くと尾瀬ヶ原の南端 山の鼻

さてここまでは山道でしたが、いよいよ本州最大の高層湿原、尾瀬ヶ原に入ります。


伏流水を越えて、飲んで、浸かる

ボコボコと出現する池塘
時には池塘の上を行く

池塘(ちとう)とは、尾瀬に1800ほど確認されている湿原にできた池です。昔は泳ぐ人もいたみたいですが、今はもちろんできません。

池塘同士が地下で伏流水で繋がる現象、竜宮がみられ、その入り口となる池塘は雪解け水の流れる時期は渦巻きが発生するようです。

渦巻きが、、ありませんでした。

尾瀬ではこの伏流水の上を歩き、飲み、そして浸かることもできるのです。

伏流水を飲める
伏流水の湯舟に浸かれる本日の宿 尾瀬小屋

ちなみに個人的には、この尾瀬小屋のある見晴地区こそ、尾瀬で一番好きな風景です。


近代化以前の旅人

徒歩以外の移動手段がなく、ひたすら木道だけを頼りに歩くという旅は、現代の日本で中々体験できるものではありません。

木道以外の人工物が見えない世界
林を抜けると

尾瀬の中で最も山小屋の集積する、見晴地区に到達した瞬間は、感動します。

燧ヶ岳の麓に、村が見えてきます

きっと徒歩で旅をした昔の人は、こんな気持ちになるのでしょう。
背後にそびえる燧ヶ岳の麓、夕陽に照らされる見晴地区は久々の人間の香りがします。

尾瀬に行く際はぜひ見晴地区に泊まってみてください。
日帰り客の多い鳩待峠近くから少し離れるだけで、ぐっと人数も減り、大自然と自分たちだけの空間が待っています。山小屋を見かけた時の感動も計り知れません。


今回泣く泣く見れなかった水辺

こんな素敵な尾瀬には、かつてボートが行き来していた時代がありました。

霧の中に佇む沼尻休憩所

見晴地区から福島県側の沼山峠に抜ける途中にある、尾瀬沼です。ここはかつて沼の対岸とボートで行き来していましたが、池の環境破壊に繋がるとの懸念から廃止されました。

朽ち果てる桟橋

自然を守るため、やむを得ませんが、一度漕いでみたかったですね。

しかし。泣き崩れるのはまだ早い。
もう一つ尾瀬には素敵な船スポットがあるのです。
首都圏からアクセスしやすい群馬県と福島県を尻目に、新潟県は最高のコースで一矢報いています。

それが奥只見湖遊覧船。なんと新潟県側から入る場合、その始まりは船なのです。

あろうことか、まだ運行前の5月に行ってしまったばっかりに、大人しく帰ってきましたが、いつかこの船による尾瀬入りを果たしてやろうと、虎視眈々とその機会を窺っています。

尾瀬は水芭蕉にはじまり、秋の紅葉まで様々な旬の花が咲き乱れます。きっとまた来たくなるはず。

以上、天空の尾瀬縦断トレッキングでした。

※日光のインバウンド人気により、尾瀬福島側から東京へ帰る東武鉄道の特急は、日光と福島の分岐、下今市から東京間で異常に混んでいます。ぜひご予約を。

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