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むにみずべ 海外編02 モンサンミシェルの干潟歩き

誰もが知る絶景、孤島に建つ修道院。
その真髄は周囲の干潟にあります。小さい頃からずっと干潟を横断して辿り着きたかった積年の想いを胸に。
こちら、知っていますか?

300万人が訪れる、西洋の脅威

ほぼ全ての人が、どこにあるかは知らずともその存在は知っているモン・サン・ミシェル。
わずか30人の住むこの島は、10万倍の年間300万人が訪れる世界的観光地です。

もし1300万人の住む東京に10万倍の観光客が来たら、なんと1.3兆人。凄まじいですね。なるほど、西洋の脅威な訳です

東洋の脅威 江ノ島

(ちなみに、少しモン・サン・ミシェルと似ている江ノ島は令和四年度、1000万人観光客が来ているようです。これからは東洋の脅威と呼びましょう。)


タイムスリップする島の中

真髄は干潟にありますが、やはりまずは島の中を探検しましょう。今回はフランスで働くムニフレンドと一緒です。

いよいよ入島です
右側に広がる干潟は後のお楽しみ
グランドリュ
何とも可愛らしい参道です
超有名(すぎて有楽町にもあった)オムレツ屋とはね橋
要塞としても使われたモン・サン・ミシェルの内側へ
おや、大聖堂への入り口が見えてきました
暗闇の向こうに大聖堂
とうとう島のてっぺん
黄金のミカエル像も見えてきました
偶然にもミサで讃美歌を聞けました。
30人しかいない貴重な住民の方の美しい歌声。
美しい木のヴォールトがかかる食堂

いやはや堪能しました。
ですが、もう待ちきれません。
大聖堂に向け登っている時にも、チラチラ海が見えては干潟歩いている人がいないか探してしまいます。

ランチもそこそこに、集合場所に向かいます。


干潟歩きスタート

それでは満を持して。干潟を歩いていきましょう。
数あるコースの中でも我々はモンサンミッシェルの島入口からスタートするツアーでした。

集合時間10分前くらいに着くと、何やらそこかしこに裸足の集団がウロウロしています。干満の差から歩ける時間は限られており、ほぼ一斉にスタートなんだと思います。

そこかしこに裸足の大人が

何とか事前に聞いていた特徴から自分たちの団体を見つけ出し、しばらくするといよいよツアー開始です。

一般的な旅行者の歩く場所から外れた瞬間に、ヌメヌメの泥が待ち受けます。まだ気持ちいいというよりは…(気持ち悪い)
また帰りに足を洗える場所があるかもわかりませんから、極力足の裏以外が泥まみれにならないようにペチペチ歩きます

でもだんだん気持ち良くなってくる

しばらくはムニュムニュの泥の上を歩いていましたが、ついにその時が来ました。ガイドさんより、河を渡れとの指令です。


人を飲み込んでいく干潟

上から見ると水のある場所とない場所がわかります

干潟を歩くのは、もちろん干潮時。それでも一部は川のように水が残ります。実はこの時の水の流れがモンサンミッシェルの干潟を維持するのにとても重要で、潮が引いていくときに泥も一緒に流れ出ていくことで、島が完全に陸地とつながることを防ぎ、あの絶景を維持しています。

そんなことを言いながらガイドさんが突然ストップ。フランス語で何かを言うと、みんながいきなり足踏みを始めました。いつの間にか泥が気持ち良くなってきました。

タプタプ前の泥
タプタプタプタプ…だんだん泥がドロドロと液状化していきます
いつの間にか、後ろのおじいさんが埋まっています

曰く、このように足踏みをすることで、液状化した泥は流れ出ていくようです。もしやこの足踏みが未来のモンサンミッシェルを支えているのかもしれません。
もはや国家的プロジェクトと言っても過言ではない様相、足踏みに熱が入ったフレンチムッシュは、いつしか足が埋まっていました

もちろん今は安全に抜け出せますが、
かつて橋のなかった時代は、巡礼者が干潮時にこのような深みにはまり、自力で抜け出せないまま背丈以上の満潮となり溺れてしまう人も多く、モンサンミッシェルへの巡礼は遺書を書いてから行くほど、文字通り命がけでした。

さてそうこうしているうちに、無事に対岸の陸地が見えてきました
陸と島をつなぐ橋をくぐって上陸します。

日陰に入るとだいぶヒンヤリ、しかも泥はトゥルットゥルッです。


まさかのランチ

久々の硬い地面

上陸すると突然、皆さんの足元に生える草、食べられますと言われました。

え、これ?

踏む前に言ってくれとも思いつつ、でもサプライズ演出としては完璧だなと思いつつ、食べてみると。

少ししょっぱくて美味しい!
ちょうど昼ご飯をしっかり食べる時間がなく、より一層美味しく感じます。
モン・サン・ミシェルのランチと言えば、草ですよね。

美味しい草原に浮かぶモン・サン・ミシェル

久々のまともな陸地と思いきや、この草原も満潮時には海の下になるようで、この植物も海のしょっぱさをまとっています。

しかも、それだけではないこの草
このあたりに見かける羊さんたちは、塩分を含んだ草を食べ過ぎて、少し塩分過多、人間だと高血圧になりそうな環境ですが、この草はそうした塩分の排出を促進する作用があるとのこと、羊さんにもモリモリ食べていただきたいですね。

腹ごしらえも終わったので、干潟に戻りましょう。

そのまま島に戻るのではなく、今度は近くの別の島に向かって歩きます。


これだけじゃ無い干潟歩き

この右側にある島
あの少し先に浮いている島

こちらのトンブレンヌ島、イギリスとフランスが百年以上に及び戦った百年戦争で、フランス側の最前線だったモンサンミシェルを攻略すべく、イギリス側の砦が築かれた島です。

何とも…今も世界の様々な場所で悲惨な戦争が繰り広げられていますが、600年近く経った当時の最前線は、今では世界的観光地。英仏の関係も概ね良好です。
どこの戦場もこの様な未来が待っていると良いのですが。

そんな事を考えながらふと振り返ると、干潟に出た人しか見ることのできない、モン・サン・ミシェルの裏側、ウラ・サン・ミシェルがそびえ立っていました。

ここが要塞だったなんてね

ちなみに。
同じ会社では、この島まで行くツアーも扱っているとか。そして何と6km先の対岸から、はるばる湾を横断してモン・サン・ミシェルに上陸する奇跡のツアーも敢行されている様です。

パリから実は遠く、東京-名古屋間程度の距離があるモン・サン・ミシェル。
これからパリ五輪で行く方も、ぜひどうにか時間を捻出し、古の巡礼に想いを馳せながら、干潟を歩いて頂きたいです。

以上、干潟歩きでした。

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