見出し画像

たった5分から始める感情ケアの方法。

感情はコントロールしたりマネジメントしたりせずに、ケアする

「感情のスキル」というと、

・怒りをコントロールする(アンガーマネジメント)
・落ち込んでもすぐに切り替えられる
.etc

といったように、感情そのものを自分の思い通りにできることがスキルだと考えがちだと思うのですが、ぼくはその考え方自体が感情スキルを下げる要因になっていると思います。

感情とは自然に発生してしまうものなので、基本的には完全に制御することはできません。

例えば、雨がたくさん降って川が氾濫します。じゃあ氾濫しないように、といってダムをつくります。

ダムを越える量の雨が降ります。今度は川の防波堤を高くします。

川の防波堤を越える雨が降ります。今度は、防波堤をもっと高くします。

ゲリラ豪雨が降って土砂崩れになります。そうするとゲリラ豪雨はいつ起きるのか?を予測しようとします。

予測した人違う日にゲリラ豪雨が降ります。そうすると今度は予測が外れたと言って予測の精度を上げようとします。

雨と雨による被害を制御しようとしてくれる人のおかげで、

・雨に濡れない世界が普通、
・雨に濡れる世界は例外、イレギュラー、非常事態

と錯覚してしまうのですが、そうするとコンクリートの下の下水から水が溢れただけで大ニュースになって、、。

今度はカーナビを例にしましょう。

ぼくはカーナビなしでどこかに行くことができません。ある日旅行に行った時にカーナビの案内の通りに行ったらそこには道がなく、右往左往しているうちに、かなり時間をロスしていました。

よくよく考えてみるとウチの車のカーナビデータは数年前から更新されていないので、道路の変更が反映されておらず、そもそもそのルートは通ってはダメだったんです。

せっかくの旅行が奥さんとの口論で台無しになりました。

こんな感じで、すべてがコントロールできたり予測できたりすることが前提で生きていると、人はバカになります。ただ本当に問題になのは、バカになることそのものではなく、自分がバカなことに気づくことができなくなることだと思っています。(そういった方向に人間が進んでいくこと自体もコントロールできないことかもしれませんが。)

カーナビの例で言ったら、「この道は間違っていたらしいので、近所のガソリンスタンドで聞いてみよう」となれたらいいのですが、カーナビの通りにいけばそこには道があると思い込んでそれが当たり前になりすぎていると、自分が間違ったという認識ができません。

で、血眼になって再ルート検索を繰り返して時間をロスし、奥さんと口論になる、と言ったことが起こります。

感情スキルが低めの人、つまり感情に縛られたり振り回されている人の特徴としても、同じことが言えます。

それは、「感情をコントロールできることがよいことだ」というのが当たり前になっているせいで、結果、感情をコントロールできない自分に落ち込んだり悩んで振り回されている、というパターンがとっても多いのです。

ではどうすればいいのかというと、

感情はコントロールしたりマネジメントするものではなく、ケアする

という発想を持つと良いと思います。

コントロールとケアの違い

コントロールとケアの違いはなんでしょうか?それはぼくが思うに、「未来を見るか」「過去を見るか」の違いになります。

前者の「未来を見る」はコントロール、制御、予測、に該当する視点で、基本的には今存在していないものについて「考える」ことが主になります。

この「考えて」予測してよりよい結果を生む、というのは人間が持つ他の動物にはない最大の特徴ですし、どの世代であれこの「思考」のおかげで世の中が便利になったことを体験していない世代はないのではないでしょうか。

この「未来を見る」力のおかげで、人はそのうち箱根旅行に行く感覚で宇宙に行くようになるかもしれません。

いっぽう、後者の「過去を見る」はケアに該当する視点で、こちらは「過去あったもの、既に存在しているもの」に「対応する」ということになります。

例えば、あまり病気のことに詳しくありませんが癌という病気に対してはまだ人間はコントロールよりもほとんどケアしかできないというのがぼくの認識です。

いま癌患者の方に、「癌にならないための話」が意味がないのと同じように、「既に存在しているもの」に対して予測したり制御することはできません。なぜならそれはもう過去だからです。

じゃあ感情の場合はどうかというと、感情とは基本「過去」です。

モヤモヤしたと思った時にはもうそれはすでに存在していて「過去」なので、これから予測したりコントロールしたり、制御したりしようとしても、「もう時すでに遅し」なんです。

だから、「感情はケアなんです。」という話になります。

感情をコントロールしようとしてもうまくいかない理由は、それは感情は過去だからという話であって、すでに目の前にある牛丼を急に消したり豚丼に変えたりできないように、「もうすでにこの目の前に置かれている牛丼の話をしよう」というスタンスが、感情スキルを高めていくためにとても大事なことになります。

5分から始める感情ケア

では最後に、僕がもうかれこれ5年くらい続けているノートの中から、

・一番簡単にできる
かつ、
・初心者におすすめ

「感情ケア」のノート方法をお伝えしたいと思います。

5分でできる「感情ケア」ノートのやり方
(ポジティブ・ネガティブノート)

  1. B5のリングノートと新しい水性サインペンを用意します。(僕はmarumanの5mm方眼B5ノートとPILOTのSUPERプチ「中」ブラックをここ3年はずっと使ってます。)

  2. ノートの新しい1ページを使います。

  3. ページの真ん中に縦に線をひきます。

  4. 左の1行目にポジティブと書きます。

  5. 右の1行目にネガティブと書きます。

  6. 今日起きてから、現在までの直近の「過去」のなかで起きた、ポジティブな出来事とその時のあなたの感情を左半分に箇条書きで書き出します。

  7. 同様にネガティブな出来事とその時のあなたの感情を右半分に書き出します。

  8. ざっと見返したら、ノートを閉じます。

  9. 最初のうちは、翌日、また翌日というように、1〜8をただ何も考えずにやってみましょう。

  10. 1ヶ月くらいたったら、それまでに書いたページを最初の方からパラパラ〜っとめくりながら読み返してみましょう。

以上になります。

これをただ繰り返していると、知らないうちに、自分の感情に対する感情スキル要素のうち、「認識」「傾聴」のスキルが上がります。

感情に振り回されている人は、そもそも感情に気付いていないことがとても多いです。また気付いていたとしてもあえてみないフリをすることでそこから逃げているのですが、結局逃げられないので今日のモヤモヤを明日にひきずっていきます。

このノートのいいところは今日のモヤモヤを一旦棚卸しすることでリセットとまではいかないまでも雪だるましきに感情が膨れ上がるのを防いでくれる効果もあることです。

まずは5分の感情ケアノート。みなさんもぜひ試してみてください。



ありがとうございます。きっとあなたにいいことがあります。