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行ってらっしゃい。

私には16の娘がいます。

世の中には、
もっと朗らかで
経済的にもゆとりのあるお母さんが
沢山いたはずなのに

私の娘は
人生に迷い、グレにグレた
当時19だった私のお腹に宿を決めたのでした。

20歳で母親になった私は、
正直手放しでは喜べずに
この子は私が母親で良かったんだろうか…と
考えても仕方ないことでグルグルしながら
"若い母親"という事にコンプレックスを抱いて
子育てをしてきました。

16年前、周りはまだ学生が多く
悩みぐらいあっただろうけど
無邪気で楽しそに見えて羨ましかった。

一方で私は
寝ないし、飲まない娘と
家の中で泣きながら過ごした20歳でした。

そうこうしているうちに 
保育園を卒園して
小学生になり
中学生になっても
この子をちゃんと育てられているのか
まだまだ、自信のないままだった。

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あれから16年が経ち
そんな娘は今、私のもとを巣立ち
離れた場所で働くことを選びました。



嘘でも「楽しかった」とは言えない
未熟な私の育児期だったけど
この生活がまだまだ果てしなく続くように
思えていました。

でも、毎日当たり前にそこに居た娘は
いつの間にか私の目の前から居なくなり
社会という大海原の一員になっていました。


昨年、搭乗口で
「ありがとう、行ってくるね。」と言われた時

あぁ…この子はこの瞬間を迎えるために
私の下に生れてきたんだ─── 

そう強く感じたんです。


母親のお腹はこの世のトンネルで
産まれた子どもは、母親のモノではなく
いつか本当の居場所に還っていくのだと
身を持って痛感した出来事でした。

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娘を手放してからの数日間は
一緒に過ごした16年を振り返っては
下の子ども達に笑われながら
とめどなく涙を流しました。

後悔も、反省も、懺悔も、寂しさも
素直になれなかった16年分が爆発して
それはもう〜大変でした。

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私の娘育ての16年は自責の16年。

でも、今の娘を見ていると
そんな私の感情や不出来さは
この子に全く関係なかったんだと思えてきます。


素直になれずツンツンした母親をやってきたけど
本当は大好きで大事でたまらなかったと
今、ようやく素直になれています。


.

こうして子どもについて書いていると
よく、"子どもを持たない人生"の人達のことも
同時に考えます。


自分は母親になる資格がなかった…とか
子どもに選ばれなくて悲しい…とか
そういう声を仕事柄よく聴くんですが
子どもは優れたから授かるのではなく
私のように荒れ狂った女性にこそ宿るものだと
思うんです。

起動修正が必要だったり
自分を取り戻す必要があったり
自分をゆるす課題のある人たちにこそ
神さまは
「ちょっとあのヒトの所に行ってやって頂戴な!」「あんたは黙って自分を生きろ!と言ってきて」と、魂を派遣するんですね。


だから、妊娠できないことに
劣等感は不要なんです。

批判を恐れずに言えば、
何かが劣っている所にこそ
【子ども】という大先生が降臨するんですね。

命の計らいには
寸分の狂がないと思います。

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自分のことをゆるすことをできない私に
会いにきた娘大先生は
私に、母親こそ自由でいいことを
教えてくれた気がします。

私が育てたんじゃない。
娘は娘の設計図通りに生きてきただけ。
私はたまたまそれを、隣で見てきただけ。

子育てって
本当にそういうことなんだと思います。

.

久しぶりに北海道に帰省していた娘を
今日、見送るために空港へ。

16年前、産婦人科で初めて会った
両目をパチッと開けて産まれてきた人を
私はぎゅーっと抱きしめて
「行ってらっしゃい。」と見送った。

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私の娘であり
世界の人口のひとりであり
ある職場の従業員である人。

数年前まで、前髪がうまく整わなくて
学校を休みたいとゴネていたのにね。

地下鉄と飛行機を乗り継いで
ひとりで行き来できるまで大人になっちゃって
本当に感慨深い気持ち。


人間って不思議ですね。

今、目の前の子どもに悩むお母さんにも
いつか必ず卒業の日がきます。

それは思っているよりも早いかもしれないし
突然かもしれない。

母親を頑張っても、頑張らなくても
子どもは子どもの人生プラン通りに成長して
ホントは誰のせいでもなく悩みながら
ホントは誰のおかげでもなく喜びも味わいます。


今の私が思うことは
子どもを生んでも
解放的に生きて大丈夫だと言うこと。

"親の責任" という言葉から
さっさと自分を解き放ってあげて大丈夫。

まだまだ若輩者の私だけど
生意気ながら、今 心からそう思います。



一番の親友が居なくなったようで寂しいけど
私は私の持ち場で、また頑張ります。

さて、ストーブとエプロンつけて
夕飯の支度。


久しぶりのnote、
読んでくださりありがとうございます✎

皆さん良い週末を✵✵✵

Asami

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